異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

サラダにもおつまみにも、アスパラガスの温玉のせ

土から出てきた昆虫を軍手ではめた指さきでつん、とつつく。

あたふたと慌てふためくように進路を変更し、忙しなく足を動かすその姿を見送った。

雑草をにぎり、ぐいっと力をこめてポイッ。
ポイ、ポイ、ポイッ！と雑草の小山をつくりあげていく。

ときおりあるしぶといのは、両手でにぎりしめて体ごと引くように反動をつける。

「わわっ」

反動をつけすぎて後ろに倒れそうになった体をたくましい腕が支えてくれた。

「ありがとーございます」

「いえいえ、気をつけてくだされ」

つなぎに麦わら帽子をかぶった老人はグリーン・サムの持ち主でもある園芸名人、庭師のおじいだ。
季節をとわず日焼けした顔と麦わら帽子がトレードマーク。

「今日はなにを収穫なさいますかな？」

「う～ん、どうしよう……」

お城のパーティーもおわり、ここ最近忙しかったマナーのお勉強やダンスレッスンの時間がへったので、今日はお庭で雑草とりのお手伝い。
この後、収穫もさせてもらう予定だ。

家庭菜園というには規模が大きすぎるお庭の一角には季節のお野菜やフルーツの他、旬をずらして栽培しているものも盛りだくさん。

つまり、目移りしてなかなか選べない。

う～ん、う～んと悩みつつ、腕組みしようとしたら「服が汚れますぞ」とおじいに笑って注意された。
そうだ、軍手してるし手が土まみれだった。

そんなクラレンスの瞳が太い茎をさらす緑のお野菜をとらえた。

「あっ、アレにします！！」

食べたいものが思い浮かんだのだ。


汚れたお洋服を着替え、手もしっかり洗ったクラレンスは収穫したグリーンアスパラガスが入った籠を抱えて厨房へ向かった。
この時間ならまだ昼食の準備に間に合うはずだ。

すでに慣れっこの料理人さんたちは快くクラレンスを受け入れてくれた。

グリーンアスパラをよく洗い、まずはお鍋を二つ用意します。

たっぷりのお湯を沸かしている間に、アスパラガスの根元の固い部分を１/３ほどピーラーでむきます。
ピーラーたのしい、とご機嫌にむいていくクラレンス。

鍋の１つでアスパラガスをゆで、もう一つの鍋では温泉卵を作成ー。

食感を残すぐらいにゆであげたアスパラガスをお皿に盛り付け、その上に温泉卵をどーん！

さらにパルミジャーノチーズをかけて胡椒をガリガリする。
粉チーズと黒胡椒はたっぷりめが美味しいです。

パンチを効かせるとサラダとしてだけでなく、ワインなんかのおつまみにも合いますよ。

出来上がり☆

めっちゃ、簡単。
アスパラガスをゆでずにラップで包んでレンチン＆温玉は市販のを使えばさらに簡単パパっとメニューです。

レンジ加熱だと１分程度でＯＫです。
アスパラの太さにもよるので加熱時間はご調整を。


今日のランチはキノコを使ったショートパスタに、スープとミニオムレツ。

料理人さんたちのつくってくれた料理の前に、まずはサラダとしてアスパラガスの温玉のせに手を伸ばす。

ナイフとフォークを使ってずっしりとした太さのアスパラガスを切り、それを温玉にくぐらせればトロリと濃い黄身と白身のソースをまとったそれをそのまま口に。

みずみずしいアスパラと濃厚なチーズと卵がよく合う。

新鮮なグリーンアスパラガス自身の風味と、黒胡椒のアクセントがまったり感と引き立てあってあっという間にペロリ。

なにより、自分の手で収穫したお野菜というのはなによりのごちそうなのです。