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ローランが派遣されるかもしれない
しおりを挟む結局、エリックたちと行ったやりとりをもう一度やり直すことになった。
取り扱いの注意事項を説明すれば、ガチ真剣に一言一句漏らすまいと真剣なシルクの向こう、ペンを走らせメモをとるランドバーグ家の執事さんの姿が見えた。
どこのお宅も執事さんは優秀みたいです。
「……っと、注意事項はそれぐらいかな」
だけどまだ一番肝心なことを言っていない。
クラレンスはソファから立ち上がるとテーブルに向って身を乗り出した。
そうしないと手が届かないのだ。身長の関係で。
ガラスの馬車の蓋を両手でそっと持ち上げる。
そんなハラハラした目で見なくても割ったりしないのに……そう思いながらそっとそれをテーブルに置いた。
「リングを置いてシルク」
「えっ?」
パチパチと瞬きをしながら見返すシルクにマーガレット作のハートのクッションを指さした。
「これ、リングピローだから。中央のパールのところにリングを置いて」
所有者登録を行ったばかりのリングをケースから出し、シルクがそっとリングを置く。
横に置いていた蓋を被せれば、
「これで完成」
リングを置いてはじめてこの置物は本当の完成だ。
「これなら身につけられなくてもずっと飾っておけるでしょ?気にいった?」
ほわりと笑いかければついにシルクの涙腺が結界した。
ぽたぽたと宝石にも負けない透明な雫がいくつも頬を伝っては落ちていく。
「はいっ、はい……。すごくっ……」
泣き出してしまったシルクを宥めるのはわりと時間がかかった。
最初の席順も崩れ、いまはクラレンスの隣をシルクとエリシュオンががっつり固めている。
お茶が運ばれてきてからの話題もリングピローの持ち切りだ。
あれやこれやと聞いてくる女性陣の勢いに押され、質問攻めにあってるクラレンス以外の男性陣は口を挟むすきもなくひたすらお茶を飲んでいる。
あ、王子様が三杯目突入した。
「あらぁ~、じゃあ手に入れるのは難しのかしら?」
「そうですね。一般に販売はできないと思いますけど……特注対応なら可能かも。薬品のことでアイザックさん宛にお城に照会が入るかもです」
怒られるのはいやなので、ここでもしれっと報告しとく。
「枯れないお花、すっごく素敵なプレゼントよね。リングピローも流行るんじゃないかしら?」
「大流行間違いなしですわ、お母さま。でも絶対にクラレンス様にいただいたこの置物が一番素敵ですけど!」
見飽きることがないとでもいうかのようにいまだうっとりと置物を眺めながらシルクが力強く断言する。
気にいってもらえてなによりだ。
ただ、万に一にも割れないように「国一番の結界魔法の使い手を!」とパパんである侯爵様におねだりしてたのはやりすぎな気もするけど。
国一とか、扱いが国宝級。
「あ、そうだ。他のリングピローの試作品もあるんですよ」
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