異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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フラワーアレンジメント体験

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「よろしくお願いします」

テーブルのうえには敷物が敷かれ、色とりどりのお花があった。
それからガラスの入れ物に、ハサミなどの工具がいくつか。

空色の瞳を向けられた女性は柔らかな笑みを浮かべる。

彼女はメイドの一人で今回はクラレンスの先生だ。

「ではまず、使いたいお花を選んでください。メインとなるお花を決めて、その脇に飾るお花たちを決めます。全体のイメージを思い浮かべながらお花やパーツを選びましょう」


クラレンスが現在、なにをしているかといえば…………。
お花の生け方を教わっています。

フラワーアレンジメント。

お花が好きなメイドさんは屋敷でもお花を生けるのを担当しているし、趣味でもちょこちょこ生けているそうなので今回講師をお願いしました。

メイドさんの言葉どおりお花やパーツを選ぶ。

出来上がっているイメージのお花はないので、色は別として形や大きさのイメージを重視してお花を選んだ。
パーツはパール系やキラキラした飾りをいくつか。

「えらびました!」

「はい、では次にお花を生けていきます。まずは主役のお花を配置して、脇役のお花、隙間を埋めるお花や動きを出すお花も配置していきましょう。配置が難しければ三角形を意識してみるとバランスがとりやすいです」

「わかりました」

まずはメインのバラを配置。

色味はグラデーションになるようにほかのお花たちを生けていく。

「バランスがむずかしいぃ」

へにょりと眉をさげるクラレンスにメイドさんは「お上手ですよ」と褒めながらも手直しを手伝ってくれる。
クラレンスだけでなく、たまたま話を聞いて参加希望したほかのメイドさんたちも真剣だ。

お花のアレンジがおわったら、ピンのついたパールやクリスタルを差し込んで飾り付け。

「なんとか出来た……」

完成にパチパチと拍手があがった。

ガラス型のドームに入ったお花は一見可愛らしい。

「はじめてにしてはとってもお上手ですわ!」

「素敵です!」

出来栄えへの不満が声と表情にあらわれているクラレンスだが、メイドさんたちの評価は上々だった。

それは決してゴマすりではなく、元々手先が器用でセンスも悪くないクラレンスの作品はこの年頃の男の子がはじめてつくったにしては綺麗にまとまっていた。

だけどなんどか手直ししたこともあり、パッと見ではわからないがよれっとしてしまっている部分がクラレンス的には納得いかない。

「もうちょっと練習してもいいですか?」

余っているお花や容器をさしてクラレンスがお願いすればもちろんですと快諾された。

お花を選び、チョキチョキと長さを揃える。

2回目ということもあって、手つきに迷いはなく作業はてきぱきと進む。

「さっきより上手にできたー」

完成品も納得の出来栄えだ。

講師をしてくれたメイドさんにお礼をいい、フラワーアレンジメント講習は終了。

ちなみにクラレンスの生けたお花はホールの目立つ場所に数日間飾られた。

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