異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

文字の大きさ
上 下
87 / 193

魔性のマヨネーズとポテトサラダ

しおりを挟む


お次はポテトサラダです。

まずは洗ったジャガイモをゆでます。

ゆでたジャガイモは熱いうちに皮をむき、ゴロっと感をのこしつつ木べらでつぶします。

横のシルクとエリシュオンにやりたそうに見られたけど、かなりあついので却下。
しょんぼりされたけどやけどされるのも冷めちゃうのも困るので。

「シルクとエルはマヨネーズの投入おねがいね」

新たな仕事を与えればはいっ!と機嫌をなおしてくれた。

「マヨネーズ?それはいったいなんですか?」

そしていつものごとく料理人さんに食いつかれました。

屋敷で、そして騎士団の厨房での経験から思わずシルクたちに渡そうとしていたマヨネーズの容器を抱え込むクラレンス。
ここで中身を味見で消費されるわけにはいかない。

「あげない」とばかりに警戒し抱え込むクラレンスを見て、クマさんこと料理長は笑った。
彼自身もかつて謎の調味料に思いっきり食いついた経験からマヨネーズを守ろうとするクラレンスと興味を持つ城の料理人、どちらの気持ちもよくわかる。

なので妥協案として料理長はクラレンスに彼らにレシピを教えていいか許可をとった。

あっさりと「いいですよー」と応えるクラレンス。

「あれはクラレンス様が考案された調味料で卵を原料としたものです。ご興味がおありならあとで私が作ってみせましょう。ですがいまは優先すべきことがあるはずです」

王族を待たせるわけにはいかない。

暗に示したその言葉に迅速に作業に戻る料理人さんたち。
だが手は動かしつつも材料や用法を尋ねたりと謎の白い物体への興味はつきない。

きっと口にすればその食いつきは加速するはずだ。


ゆで卵を粗みじんにし、きゅうりは輪切りにして塩もみ、ハムは角切りにしたものをざざざっと潰したジャガイモが入った器にくわえる。

いつもなら水にさらした玉ねぎのスライスもくわえるが、スープなど火の通ったものなら平気だがエリシュオンが玉ねぎが苦手なのでそれは外した。

「ここにマヨネーズ投入」

大き目のスプーンを手にしたシルクがマヨネーズをすくって投入。
ちらりとクラレンスを見て、頷かれると今度はエリシュオンがもう一杯投入。

具材とマヨネーズを和えながら、さらに頷くクラレンスにシルクとエリシュオンが交互にマヨネーズを投入し、イイ感じになったところでストップ。

塩コショウなどで味をととのえれば完成だ。

「これがポテトサラダですのね?想像とだいぶ違いましたわ」

「味見する?どんな味?」

わくわくと期待した目で見てくる二人に小さめのスプーンにそれぞれ取り分けて渡した。
クラレンス自身も味付けをみるために一口ぱくり。

んんっ、まったり。でもピタパンにはさむならもうちょっとマヨネーズが強くてもいいかも、とマヨネーズとコショウを少し投入。

もう一口食べれば今度はイイ感じだ。

「サラダの概念が変わりますわ!」

シルクも驚いているし、クラレンスが二口目を食べたことから自分も!と要求してくるエリシュオンも気に入ったようだ。

やたらと料理人さんたちの視線も感じるが……とりあえず責任者っぽい一人だけ味見してもらった。

「これはっ?!た、たしかにサラダの概念が覆ります!これがマヨネーズ……」

目を見開いて驚くお城の料理人さんの言葉に他の料理人さんの興味がより一層集まった。
じっと注がれる視線にクラレンスは今度はポテトサラダを抱え込み、エリシュオンも「これはだめっ」と両手を広げて料理人さんたちを威嚇する。

「こ、国王陛下たちのなのでっ!皆さんのはあとで作ってもらってください!」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】イケメン旦那と可愛い義妹をゲットして、幸せスローライフを掴むまで

トト
児童書・童話
「私も異世界転生して、私を愛してくれる家族が欲しい」  一冊の本との出会いが、平凡女子をミラクルシンデレラに変える

昨日の敵は今日のパパ!

波湖 真
児童書・童話
アンジュは、途方に暮れていた。 画家のママは行方不明で、慣れない街に一人になってしまったのだ。 迷子になって助けてくれたのは騎士団のおじさんだった。 親切なおじさんに面倒を見てもらっているうちに、何故かこの国の公爵様の娘にされてしまった。 私、そんなの困ります!! アンジュの気持ちを取り残したまま、公爵家に引き取られ、そこで会ったのは超不機嫌で冷たく、意地悪な人だったのだ。 家にも帰れず、公爵様には嫌われて、泣きたいのをグッと我慢する。 そう、画家のママが戻って来るまでは、ここで頑張るしかない! アンジュは、なんとか公爵家で生きていけるのか? どうせなら楽しく過ごしたい! そんな元気でちゃっかりした女の子の物語が始まります。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

転生チートがマヨビームってなんなのっ?!

児童書・童話
14歳の平凡な看板娘にいきなり“世界を救え”とか無茶ブリすぎない??しかも職業が≪聖女≫で、能力が……≪マヨビーム≫?!神託を受け、連行された神殿で≪マヨビーム≫の文字を見た途端、エマは思い出した。前世の記憶を。そして同時にブチ切れた。「マヨビームでどうやって世界を救えっていうのよ?!!」これはなんだかんだでマヨビーム(マヨビームとか言いつつ、他の調味料もだせる)を大活用しつつ、“世界を救う”旅に出たエマたちの物語。3月中は毎日更新予定!

生贄姫の末路 【完結】

松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。 それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。 水の豊かな国には双子のお姫様がいます。 ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。 もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。 王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。

村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~

めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。 いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている. 気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。 途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。 「ドラゴンがお姉さんになった?」 「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」 変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。 ・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

両親大好きっ子平民聖女様は、モフモフ聖獣様と一緒に出稼ぎライフに勤しんでいます

井藤 美樹
児童書・童話
 私の両親はお人好しなの。それも、超が付くほどのお人好し。  ここだけの話、生まれたての赤ちゃんよりもピュアな存在だと、私は内心思ってるほどなの。少なくとも、六歳の私よりもピュアなのは間違いないわ。  なので、すぐ人にだまされる。  でもね、そんな両親が大好きなの。とってもね。  だから、私が防波堤になるしかないよね、必然的に。生まれてくる妹弟のためにね。お姉ちゃん頑張ります。  でもまさか、こんなことになるなんて思いもしなかったよ。  こんな私が〈聖女〉なんて。絶対間違いだよね。教会の偉い人たちは間違いないって言ってるし、すっごく可愛いモフモフに懐かれるし、どうしよう。  えっ!? 聖女って給料が出るの!? なら、なります!! 頑張ります!!  両親大好きっ子平民聖女様と白いモフモフ聖獣様との出稼ぎライフ、ここに開幕です!!

処理中です...