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魔性のマヨネーズとポテトサラダ
しおりを挟むお次はポテトサラダです。
まずは洗ったジャガイモをゆでます。
ゆでたジャガイモは熱いうちに皮をむき、ゴロっと感をのこしつつ木べらでつぶします。
横のシルクとエリシュオンにやりたそうに見られたけど、かなりあついので却下。
しょんぼりされたけどやけどされるのも冷めちゃうのも困るので。
「シルクとエルはマヨネーズの投入おねがいね」
新たな仕事を与えればはいっ!と機嫌をなおしてくれた。
「マヨネーズ?それはいったいなんですか?」
そしていつものごとく料理人さんに食いつかれました。
屋敷で、そして騎士団の厨房での経験から思わずシルクたちに渡そうとしていたマヨネーズの容器を抱え込むクラレンス。
ここで中身を味見で消費されるわけにはいかない。
「あげない」とばかりに警戒し抱え込むクラレンスを見て、クマさんこと料理長は笑った。
彼自身もかつて謎の調味料に思いっきり食いついた経験からマヨネーズを守ろうとするクラレンスと興味を持つ城の料理人、どちらの気持ちもよくわかる。
なので妥協案として料理長はクラレンスに彼らにレシピを教えていいか許可をとった。
あっさりと「いいですよー」と応えるクラレンス。
「あれはクラレンス様が考案された調味料で卵を原料としたものです。ご興味がおありならあとで私が作ってみせましょう。ですがいまは優先すべきことがあるはずです」
王族を待たせるわけにはいかない。
暗に示したその言葉に迅速に作業に戻る料理人さんたち。
だが手は動かしつつも材料や用法を尋ねたりと謎の白い物体への興味はつきない。
きっと口にすればその食いつきは加速するはずだ。
ゆで卵を粗みじんにし、きゅうりは輪切りにして塩もみ、ハムは角切りにしたものをざざざっと潰したジャガイモが入った器にくわえる。
いつもなら水にさらした玉ねぎのスライスもくわえるが、スープなど火の通ったものなら平気だがエリシュオンが玉ねぎが苦手なのでそれは外した。
「ここにマヨネーズ投入」
大き目のスプーンを手にしたシルクがマヨネーズをすくって投入。
ちらりとクラレンスを見て、頷かれると今度はエリシュオンがもう一杯投入。
具材とマヨネーズを和えながら、さらに頷くクラレンスにシルクとエリシュオンが交互にマヨネーズを投入し、イイ感じになったところでストップ。
塩コショウなどで味をととのえれば完成だ。
「これがポテトサラダですのね?想像とだいぶ違いましたわ」
「味見する?どんな味?」
わくわくと期待した目で見てくる二人に小さめのスプーンにそれぞれ取り分けて渡した。
クラレンス自身も味付けをみるために一口ぱくり。
んんっ、まったり。でもピタパンにはさむならもうちょっとマヨネーズが強くてもいいかも、とマヨネーズとコショウを少し投入。
もう一口食べれば今度はイイ感じだ。
「サラダの概念が変わりますわ!」
シルクも驚いているし、クラレンスが二口目を食べたことから自分も!と要求してくるエリシュオンも気に入ったようだ。
やたらと料理人さんたちの視線も感じるが……とりあえず責任者っぽい一人だけ味見してもらった。
「これはっ?!た、たしかにサラダの概念が覆ります!これがマヨネーズ……」
目を見開いて驚くお城の料理人さんの言葉に他の料理人さんの興味がより一層集まった。
じっと注がれる視線にクラレンスは今度はポテトサラダを抱え込み、エリシュオンも「これはだめっ」と両手を広げて料理人さんたちを威嚇する。
「こ、国王陛下たちのなのでっ!皆さんのはあとで作ってもらってください!」
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