異世界転生したけどチートもないし、マイペースに生きていこうと思います。

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後半でぶち壊し

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ひょこと顔を出し、部屋を覗く。

「こんにちはー。今日はお具合どうですかー?」

わりと日常になった騎士団宿舎の訪問だった。


治療9日目。

もともと人見知りも気後れもしないクラレンスは患者三人とそこそこ打ち解けた。
手をあげたり、笑顔で迎えてくれるし、なんなら家族のエピソードも色々聞かせてくれる。
先日は一般人を凶悪犯と間違えて捕縛しかけた失敗談を暴露されたヘンリーが「止めて下さい!!なんでバラすんですかっ!」と真っ赤な顔で食ってかかっていた。

ちょくちょく顔を出しているクラレンスだが、別に毎日来ているわけではない。
初日の説明どおりすぐにどうこう出来る問題でもなければ、食事や飲み物の用意、身の回りの世話は他の人がやってくれるからだ。

なのでクラレンスは時々顔を出して体調を確かめながら、みんなの好みにあいそうな薬草レシピを料理人さんに提供したり、固まっちゃうと動かしずらいしマッサージしてもらうといいそうですよなど口を挟んだりするぐらい。

ローランにしても初日に効果がありそうなあれこれを説明した以外は時折【鑑定】で三人の具合を確かめるくらいだ。
彼の役目は魔法が効く状態に持っていってからなので。

「クラレンスくんの友達はどのぐらいで治ったんです?毒は違いますが、ランドバーグ家のご令嬢は2週間ほどでしたっけ?」

問い掛けてきたのは20代半ばの青年。
名前はシエル。実は初日から対面していた。

バードの怪我は森での魔物討伐の任務中にシエルを庇って負ったものだそうで、強い罪悪感を抱いているのだ。
そしてバードをとても慕っている。

「確か2カ月ちょっとですかね?でもその時は半分気休めで効果もわからなかったから、たまたま【鑑定】をした時に「あれ?毒の状態がちょっと弱まってる?」って気付いて【解毒】と【治療】試したのがその頃っていうのもあります」

完治するとはクラレンス自身も思ってなかった。

ただ、わずかでも影響が少なくなればいいと思ったし、本人も少し体の調子がいい気がするっていうから続けただけだ。最初は落ち込みから精神と体調面にも影響が出てたので。

「2カ月、ですか……」

「でも今回は薬草も強化バージョンですし、なによりローランさんの魔法は規格外って話ですから」


シルクの時もそうだがある程度魔法が通用するように調整したら、そこからはある意味で力技。

これは普通の【解毒】や【治療】もそうだが、最初は手ごたえがなくてもある瞬間に効果が出ることがあるのだ。

用は魔力量が必要に達したときということだろう。

壁の向こう側に怪我を負った救助者が居るとでもいえばわかりやすいだろうか。

弱い力で壁を叩いても壊せないが、地道に壁を壊し続けば、あるいは壁を豪快にブチ破れば怪我人を救助できる。
乱暴な言い方をすればそんなところだ。

そしていまクラレンスたちがしているのは、その壁まで辿り着くための障害物を撤去する作業。

ローランの魔法は冗談抜きに規格外らしいので、ある程度の障害物を取り除けば力技でなんとかしてくれる可能性も大きい。

「あの方なら期待できますね」

シエルの顔に笑みが浮かんだ。

「先輩、きっと大丈夫です。良くなりますよ。もう一度剣が持てます絶対に」

自身に言い聞かすようにバードに語る。

「魔法の才能にかけてはあの方の右に出る者はいませんから。本当に優秀な方です。…………魔法に関しては」

「ああ、あのぶっ飛んだ性格がなけりゃな」

「魔法以外はポンコツだけどなー」

「……諦めろ。あの坊ちゃんは入団当初からああだった」

途中までは感動的な感じだったのに……。

4人の会話にローランの評価を見た。

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