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【その後】
転生司祭は帰省する 6
しおりを挟むその一つが内職的な副業。
教会の支援や、善意の施しは大変ありがたいが、他人の好意に甘えるだけじゃなく自分たちの糧を得る努力をするのは大切だよね。
特に教会の支援とかって誰がトップに居るかで大きく左右されるし。
他力本願だけじゃ正直心もとないのだ。
そしてそのマインドは思った以上に強く受け継がれているらしい。
デザート皿付近、大皿に盛られた勇者パーティクッキーを見てそう思わずにはいられない。
他にも色々グッズ展開されてたし、今後の予定もわんさからしい。
やめて……。
僕的に唯一の救いは前世の推しグッズみたいなのとは大幅にかけ離れていることかな。
ほら、顔写真のプリント技術とかないからね。
だからグッズって言っても十字架とかのモチーフとかイメージカラー的なものなのが不幸中の幸い。
……あのこっ恥ずかしいネーミングは切実にやめて欲しいけど。
どうかこの世界に推しうちわとか、ぬいぐるみ的なものが出てきませんように……!
とりあえずだ、孤児院の子らは思った以上にたくましい。
こんなことがあった、あんなことがあった、なになにができるようなったなど、子どもたちは報告に忙しくて夕飯の席はいつも以上に賑やかだ。
明日は明日で村中でお祝いしてくれるらしいし、きっと今日以上だろう。
「……そうして二人は幸せに暮らしました」
パタンと絵本を閉じるころには、腕の中の体温はうつらうつらと船を漕いでいた。
僕らが旅立ったあとに孤児院にきた最年少の少年は最初こそ人見知りをはっきしていたものの、途中からはだいぶ懐いてくれた。
起こさないように目元の前髪をそっと払う。
「オレ、寝かしてきます」
年長の少年がそう言って差し出してくれた腕に幼い体を預ける。
他の子らは…………と見れば、みんなお目めぱっちりだ。
いつもなら年少組はベッドに入っている時間なのだけど、今日は久々の懐かしい再会に興奮しているせいもあるのかまだまだ眠気は訪れていないよう。
期待に満ち満ちた眼差しに「次はどのお話しですか?」と問いかければ、すぐさま差し出された絵本。
「次はわたしがおひざ!」
手をあげて膝の上にのってくる少女の体をずり落ちないように引き寄せる。
ふくふくのほっぺをご機嫌に緩めて「えへへ」と笑う姿はとても可愛らしい。
……お膝の上を巡って行われたジャンケンはちょっと鬼気迫る迫力だったけど。
あと、ずるいとか妬ましそうに見られても、さすがに年長組の子らは厳しいんで諦めてくれるかな?
アーサーやユリアも諦めなさい。
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