56 / 62
【その後】
転生司祭は帰省する 4
しおりを挟む「さて、メニューは何にしましょうか?」
手を洗って、腕まくりしながらエリザに尋ねた。
ある程度の広さはあれど、そう広くもない台所には僕やエリザのほかにユリアや子どもたちとやや密集状態だ。
「お客さまなのにごめんなさいっ。本当にいいんですか……?」
眉を下げて上目遣いで見てくるエリザには「勿論」と笑って答える。
さて、なぜ台所に居るかというと……夕食の準備のためだ。
やー、子どもたちにさ、強請られたんだよね。
「久しぶりの司祭様のごはんー!!」「やったー!!」って期待満々で喜んでくれる子たちに否とか言えるわけないよね。
エリザ的には一応客人である僕らを働かす気はなかったみたいだけど、もともと人数多いところにいきなり押しかけたんだし、最初から手伝う気だったから問題ないんだけど。
そのうえであんな楽しみにされちゃ張り切るってもんですよ。
ちなみに、アーサーは男の子たちに剣の稽古+孤児院の修繕なんかの力仕事。
ヨハンくんとシルフィーナは村の絶景ポイントへお出かけ。
そこから沈む夕日を二人で見ると幸せになれるというジンクスがあるんだ。
シルフィーナは意外と乙女だよね。
ウルフは暇だからってお肉調達も兼ねて狩り。
アーサーとウルフがいる時点で確実に食材が足りない。
大物を期待しよう。
ジャンさんはちょくちょく子どもらに話しかけられつつも、この前GETしたばっかの例の魔導書とにらめっこ中だ。
「今日はポトフにしようと思って……」
「じゃあメインはそれで。他は何にしましょうか?……とりあえず、お肉は大量に調達されるはずです」
はず……っていうかほぼ確定?
「お肉の調理法はウルフが何をとってくるかですねー。お野菜とかおつまみも欲しいし、わたしサラダとか作ります。お手伝いしてくれる子ー?」
ユリアがサラダ担当に決まり、小さい子らも葉物を洗ったりお手伝い。
僕は……ポトフを手伝いつつ、おつまみを数種パパっと作るかな。
勝手知ったる台所、足元の扉を開いて包丁をとりだした。
お手伝いを申し出てくれた子らの目が真ん丸に開かれた。
「司祭さま、ほーちょー…………」
「し、司祭様?!」
ほら、例の戒律で僕は刃物使えなかったからね。
しかし……今の僕は違うのだっ!!
「特別に許可を貰って使えるようになったんです」
心なしかドヤッってしちゃうのは仕方ないよね。
「それに王都にお店も出店予定なんだよ!わたしとアーサーも一緒に働くの。みんなもいつか来てね!!」
僕以上にドヤ顔で「ミシェル様のお店!!」と高らかに宣言するユリア。
そんなユリアに「ずるーい!」「卑怯だー」とブーイングと「司祭様のお店?行きたい!」「なんてお店ですか?」と感想や質問が飛び交う。
136
お気に入りに追加
252
あなたにおすすめの小説
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
【完結】玩具の青い鳥
かのん
児童書・童話
かつて偉大なる王が、聖なる塔での一騎打ちにより、呪われた黒竜を打倒した。それ以来、青は幸福を、翼は王を、空は神の領域を示す時代がここにある。
トイ・ブルーバードは玩具やとして国々を旅していたのだが、貿易の町にてこの国の王女に出会ったことでその運命を翻弄されていく。
王女と玩具屋の一幕をご覧あれ。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
悪女の死んだ国
神々廻
児童書・童話
ある日、民から恨まれていた悪女が死んだ。しかし、悪女がいなくなってからすぐに国は植民地になってしまった。実は悪女は民を1番に考えていた。
悪女は何を思い生きたのか。悪女は後世に何を残したのか.........
2話完結 1/14に2話の内容を増やしました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる