転生司祭は逃げだしたい!!

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【その後】

転生司祭は帰省する 4

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「さて、メニューは何にしましょうか?」

手を洗って、腕まくりしながらエリザに尋ねた。
ある程度の広さはあれど、そう広くもない台所には僕やエリザのほかにユリアや子どもたちとやや密集状態だ。

「お客さまなのにごめんなさいっ。本当にいいんですか……?」

眉を下げて上目遣いで見てくるエリザには「勿論」と笑って答える。

さて、なぜ台所こんなとこに居るかというと……夕食の準備のためだ。

やー、子どもたちにさ、強請ねだられたんだよね。

「久しぶりの司祭様のごはんー!!」「やったー!!」って期待満々で喜んでくれる子たちに否とか言えるわけないよね。

エリザ的には一応客人である僕らを働かす気はなかったみたいだけど、もともと人数多いところにいきなり押しかけたんだし、最初から手伝う気だったから問題ないんだけど。
そのうえであんな楽しみにされちゃ張り切るってもんですよ。

ちなみに、アーサーは男の子たちに剣の稽古+孤児院の修繕なんかの力仕事。

ヨハンくんとシルフィーナは村の絶景ポイントへお出かけ。

そこから沈む夕日を二人で見ると幸せになれるというジンクスがあるんだ。
シルフィーナは意外と乙女だよね。

ウルフは暇だからってお肉調達も兼ねて狩り。

アーサーとウルフがいる時点で確実に食材が足りない。
大物を期待しよう。

ジャンさんはちょくちょく子どもらに話しかけられつつも、この前GETしたばっかの例の魔導書とにらめっこ中だ。

「今日はポトフにしようと思って……」

「じゃあメインはそれで。他は何にしましょうか?……とりあえず、お肉は大量に調達されるはずです」

はず……っていうかほぼ確定?

「お肉の調理法はウルフが何をとってくるかですねー。お野菜とかおつまみも欲しいし、わたしサラダとか作ります。お手伝いしてくれる子ー?」

ユリアがサラダ担当に決まり、小さい子らも葉物を洗ったりお手伝い。

僕は……ポトフを手伝いつつ、おつまみを数種パパっと作るかな。

勝手知ったる台所、足元の扉を開いて包丁をとりだした。
お手伝いを申し出てくれた子らの目が真ん丸に開かれた。

「司祭さま、ほーちょー…………」

「し、司祭様?!」

ほら、例の戒律で僕は刃物使えなかったからね。

しかし……今の僕は違うのだっ!!

「特別に許可を貰って使えるようになったんです」

心なしかドヤッってしちゃうのは仕方ないよね。

「それに王都にお店も出店予定なんだよ!わたしとアーサーも一緒に働くの。みんなもいつか来てね!!」

僕以上にドヤ顔で「ミシェル様のお店!!」と高らかに宣言するユリア。

そんなユリアに「ずるーい!」「卑怯だー」とブーイングと「司祭様のお店?行きたい!」「なんてお店ですか?」と感想や質問が飛び交う。
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