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【その後】
転生司祭は休日を過ごす 3
しおりを挟むそうこうする内に街の人たちに案内された騎士が二人ほど駆けつけた。
軽くとはいえ暴れちゃったし、もしかして事情聴取されたりする?
うわ、面倒臭い。
せっかくの休日なのに……とか思っているとバタバタと駆けつけた騎士の一人がガチリと動きを止めた。
「一体何が?」
質問を発した若い方の騎士に状況を軽く説明する。
男たちがレーネに強引に絡んでいたこと、彼女に手を出そうとしたので止めたこと、結果頭に血が上った男たちを正当防衛のために撃退したことを語れば周囲の野次馬たちも「そうだ!そうだ!」「その兄ちゃんは悪くねぇぞ!」と口添えしてくれた。
ありがとうございます。
気を失わせた最初の一人と大柄な男以外は意識もあるので本人たちにも確認をとれば、すっかり大人しくなった彼らは「その通りです」と全面的に自供してくれた。
「悪いが念のため取り調べに……」
「いえっ!大丈夫ですっ!!」
これで事情聴取免れないかなー、ダメかなー、なんて思ってた途端の若い騎士の言葉に内心ガッカリしてると、到着以来固まっていた年長の騎士がピシリと正した背で唐突に大きな声を上げた。
「状況は充分確認出来ましたし、取り調べは彼らにみっちり行います。周囲の方々の供述もありますし問題はありません!」
いまにも敬礼でもしそうな雰囲気にあちゃ~と思う。
この反応は……絶対に僕のこと知ってるな。
僕のことっていうか、僕にやらかしたら勇者様たちがブチ切れるって情報の方かもだけど。
まぁ、地味で他のメンバーより目立ちにくいってだけで、別に変装してるわけでもないし顔を知ってる相手が見れば普通にわかるよね。
だけど有り難いっちゃ有り難い。
僕は素直に彼の言葉に甘えることにした。
「構わないんですか?」
「はいっ!治安維持へのご協力、誠に有難うございます」
ついには敬礼、90度のお辞儀をされた。
「ちょ、先輩?!どうしたんですか?」
「煩い!お前も頭を下げろっ!!」
ぐいぐいと若い騎士の頭を押さえつける騎士を慌てて止める。
その間にも応援なのかさらに二人ほどの騎士が駆けつけてきた。
近寄ってきて、ハッと息をのんだ彼らの顔には見覚えがあった。
「司祭様?!」そう叫ぼうとしたのだろう、「し」の形に大きく口を開いた彼らへ向けて唇の前で指を一本立たせた。
意味は充分伝わったようで慌てて口を閉じる彼ら。
屈強な騎士が両手で口を押さえる姿はちょっぴりユーモラスだった。
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