転生司祭は逃げだしたい!!

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【その後】

転生司祭は転職したい 8

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「話を戻しますけど、時期も確実に起きるかも不明の事件でみんなを足止めするのも躊躇ためらわれましたし、告げなかったのはそのためです。ユリアにお願いした簡易結界もありますし、ジャンとヨハンもいますしね」

シルフィーナとウルフはそれぞれエルフの森と獣人の国に帰るが、ジャンさんとヨハンくんは王都に在留する。
僕が居なくなったアーサーとユリアは村に帰るのかどうするか不明だったが……。
事前に頼んでたユリアの結界、それから王子殿下が動かす魔導師たちも居るし全員居なくとも対処は可能だった。

「とりあえず事件が起こるか、それかあの王が排除されるまでは様子を見てその後はやりたいことでもやってみようかなと思ってはいたんですよね」

ゴニョゴニョと後半ちょっと声が小さくなる。

「やりたいこと?」大きな瞳で小首を傾げながら覗きこんでくるユリアにちょっと色づいてるだろう頬を照れ隠しでかいた。

恥じることでもないけれど、この年で夢を語るのはどうにも面映おもはゆい。

「司祭を辞めたら飲食店をやってみたいと思っていたんですよね。小さくていいので自分の店を開こうかと」

みんなの目と口が真ん丸に開かれる。

まぁそうですよね。
勇者パーティの司祭から飲食店店主とか、司祭から邪教の教祖様と張るぐらい異色のジョブチェンジだ。

「料理は元々好きですし、自分の料理を喜んで食べてくれるのは嬉しいので」

今世は料理人ではなかったけど、孤児院の子供たちが美味しそうに満面の笑顔でごはんを頬張ってくれるのが嬉しかったし、旅の間みんなのごはんを作るのも楽しかった。
やっぱり僕は料理が好きだ。

「すっごく素敵だと思います!ミシェル様のごはん、わたし大好きです!世界一美味しいですもん!!じゃあわたし、お手伝いとウェイトレス頑張りますね!!」

パンッ!と胸の前で両手を叩いたユリアが驚いた顔から一転、満面の笑顔で身を乗り出してきた。

「なら材料の調達は俺に任せて下さい!竜でもなんでも最高の食材を獲ってきてみせます!どうせなら国一番の店を目指してはいかがでしょう?ミシェル様の料理なら世界を取れます」

キリッとした顔で割ととんでもないことをアーサーがしれっと言いだす。

「ちょ、ちょっと待って」

両手を広げて二人を止める。

「それは最初の計画でっ、一人になったら全てが終わったらやってみようかと思っていた話です。二人が居るなら改めて今後どうするか考えて……」

「「どうしてですか?」」

や、どうしてって……。

「お店、すっごくいいと思います。楽しそうだし、ミシェル様の美味しいごはんが食べれるし!」

「今からすごく楽しみです」

元気いっぱい答えるユリアと、じゅるりと口元を拳で拭うアーサー。

「すごいメンバーの飲食店ですね……」

それな。

ヨハンくんはポソッと的確なツッコミ決めてくるよね。

勇者と聖女が従業員の飲食店。
人材の無駄遣い感ハンパない……。


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