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転生司祭は逃げだしたい(勇者パーティ視点)1
しおりを挟むアーサーとユリアは急いでいた。
本当は凱旋パレードもくだらない会食もなにもかもほっぽりだしてしまいたかったけど、それでも笑顔を張り付けて耐えていたのは他でもないミシェルの言葉があったから。
「アーサー、ユリア、魔王討伐という偉業を成し遂げた君たちを人々は待っています。君たちは彼らの光で、人には光が必要です。もちろん、私の誇りでもある」
「自分達も欠席して看病する!」と言い張ったアーサーたちをミシェルはそう諭した。
完全に納得したわけではなかったが、それが司祭様の望みならばと偽物の笑顔を張り付けながらも心の中は心配でいっぱいだった。
やっと会食が終わり、それでもまだ引き留めようとする貴族たちを心の中で殴りつけながらようやく部屋へと戻った。
「司祭様っ」
ノックの意味もないぐらい慌ただしく扉を開く。
しん、と音のない部屋。
「司祭さま……?」
寝ているのだろうか?まさか具合が悪化して?とベッドへと足を進めるもシーツは綺麗に整えられたまま。
「礼拝堂にでも行かれたのかな?」
「待って、アーサー。なにかある」
踵を返そうとしたアーサーの手を引いてユリアが止める。
テーブルの上に規則正しく並ぶ幾つかの封筒。封筒の表面には綺麗な筆致で旅のメンバーの名前がそれぞれ書かれており……過った不穏な予感にアーサーとユリアは震える手でそれを手に取った。
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