ばーちゃーはん

ポッキー

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後悔

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祖母が弱っているのは
母から聞いていた。
だがその時謎の伝染病が広まっており
中々帰省することができずにいた。
それにうちは母と祖父母の仲が
良くなく、度々家の中は大荒れだった。
母のことは大好きだ。
祖母も可愛がってくれていたので
好きだったが幼少期に祖母のことを
好きだと言ったら母は鬼のように狂った。

私はあいつのせいであーちゃんを
育てられなかったのだ。
一番可愛い時期を奪ったあいつ。
許せない。

初孫。祖母はいつも私を連れ歩いて
ご近所を回っていた。
祖母なりの可愛がり方だったのだろう。
夜も祖母と一緒に寝ることが多く
母として辛かったのだろう。

幼少期にして祖母のこと好きだと
言ってはいけない。そう思った。
その後から母は祖母が作るものは
汚いや嫌がらせをされたなど
数々のことをまだ小さい私に
こぼすようになった。
なので私は祖母が作るものに
嫌悪感を覚えるようになったのかもしれない。

大人になりあのときの母は
心が病んでいたのだということに
気付かされた。
幼少期の頃はただ大人のケンカとしか
思っていなかったが
今になって母も大変だったんだと
つくづく思う。

祖母が亡くなる前テレビ電話を
繋いでもらった。
以前の祖母はどこにいったのだろう。
そこにいたのはまるで
ゾンビのような、本当に生きてるのか
そう思わずはいられない祖母の姿だった。
その姿を見て私は一気に
死 ということを現実的に感じてきた。
今までごめんなさいと伝えなければ
ならないと強く思った。

私のことわかる?

祖母は面倒かのようにうんうんと頷く。
きっとしんどいのだろう。
だが私には祖母が私を恨んでいると
感じてしまった。
実家を出てから一度も帰らない私を。
せっかく作ったご飯を食べない私を。
母の味方ばかりをする私を。

「またばーちゃんのちゃーはん食べたい。」

祖母は何も言わず目を閉じた。
たくさん管をつけられて本当に
疲れているのだろう。
一言も祖母の声を聞けずに電話は
終わってしまった。
なぜもっと話ができるうちに
ごめんなさいと感謝の気持ちを
話せなかったのだろう。
電話を切った私は後悔の念に駆られた。
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