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第二章 間違いが、正解を教えてくれる。

間宮陸人(24歳)、久しぶりの1人エッチ。

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 どうも困ったことになった。

 中3でオナニーに目覚めて以来、欲望という名の欲望を己のチ◯コとしり駆使くしして、発散するプロである、この俺が、まさかの欲求不満なのである……。

 実は、高熱で寝込んでいた間はもちろんのこと、ザギンにめちゃくちゃに抱かれた、あの日以来、俺は一度も射精できていなかった。

 まぁ……ぶっちゃけ溜まりまくっている。

 久しぶりの仕事に精でも出してストレス発散しようとしたところ、まさかの正月休みで絶賛、出鼻をくじかれてしまっている最中だ。

 俺は、相変わらず自分の家には帰らず、銀田の部屋で暇と性欲とを持て余していた。

 んなもん、とっととオナニーすりゃあ、いいじゃんと思うものの、道具一式自宅にあるのと、チ◯コだけだと、なっかなかイケないもんで、なんだかんだ抜けずに清い生活をいられている。

 でも、ようやく明日こそ仕事初めだという夜に、俺は覚悟を決めて全身全霊でオナることにした。

 そもそも、去年から後生ごしょう大事に精液を溜め込んでたって、縁起も身体にも悪いしな。

 そんなわけで、いつものように銀田とリビングで夕食を済ませてから、たった今、けがらわしいことをするために、バカでか風呂で身体を清めてきたところである。


 で、いざ、満を持してベッドに横になり、コンドームに包んだ自分の指を、久しぶりに尻の穴へと差し込んでみたのだけど……。禁欲期間が長かったせいか、もうそれだけで、チ◯コはギンギンになっている。

 ところが……である。

 俺は、うっかりしていた。

 俺とあろう者が……。

 そうそれは、思いっきりアナニーするため、たっぷりとローションを注入した尻に、初っ端から指を3本突っ込み、コリコリに勃った乳首を自分の指先で愛撫し始めた直後のことだった。

 条件反射というものは、マジで恐ろしい。俺の脳内には、あまりに妄想で慣れ親しんだ、ギンギンに完勃ちしている山田のイヤらしい裸体が自然と思い浮かんだのだが、その瞬間に、しゅるしゅると俺のチ◯コが見る間にしぼんでしまったのである。

「ゑ!!??」

 俺はパニクった。

 あれほど……あれほど爆発しそうな性欲が、一瞬で吹き飛んでしまった。なぜ!? なぜ!? なぜ!? なぁぜ!? なぁぜ!?

 は!? 煩悩の具現化みたいな存在の山田大吉で、俺のムスコがえるだと!? あのエロスの化身のような山田大吉やぞ!?

 俺はオナニー覚えたての中学のときは、それこそゲーノージンや街で見かけたイケメンとかをオカズにして、適当にオナっていたものの、高1で山田と出会い、ニーに目覚めてからは、お尻は山田一筋でオナってきたのである。

 が、山田で興奮できないとか、ありえねぇだろ……。

 山田に拒絶されたのが、こんなにも如実にょじつに身体に出るとか、チ◯コって正直すぎるにもほどがあるよ……。

「……参ったな」

 まさか、このまま去年からの精液溜め込んだ状態で、仕事始めすることになんのか……?

 無理無理ムリムリムリムリィーッ!!

 俺は、しばらくチ◯コと乳首を丸出し状態で、頭を抱えていたが、ふと、一瞬だけ魔が差したのか、銀田の満面の笑顔が脳裏をよぎってしまい、慌てて、ブンブンブンブンッと思いっきり頭を振って消し去った。

「…………」

 ……まぁ、こんな身体になったのも、自業自得だからな……。

「……はーーぁ」

 バカでかいため息をついて、仕方ない、と諦めて寝ようとすると、ふと、金玉先生の新作の同人誌が視界に入った。

 なんだかんだ捨てるに捨てられず、ベッドのサイドテーブルに置きっぱなしにしておいたのだ。

 いくら自分と銀田の成人向けナマモノBL作品だと知っていても、そこには、しっかりとと直筆でサインが入っているのだ。まぁ、銀田の直筆なんだけども!

「…………」

 百歩譲って……まぁ、小説で抜くなら……アリか?

 俺は、迷いながらも、恐る恐る自分が主役の薄い本を手に取ってみた。

 しかも、1ページ目から読むのではなく、最初から、エイヤッと、真ん中辺りのページを見開くという、本読みのはしくれとして、風上にも置けない愚行ぐこうまでしでかした。


 ――陸人は喉仏を天井に突き上げるように上半身を弓なりに反らし、「あゝ」と、声にもならぬ声を上げた。突き出された胸に浮かぶ小さな二つの突起が、真っ赤に熟れた果実のように真をたぶらかす。真は、陸人の両手首を片手で掴むと、陸人の頭上まで持ち上げ脇の下をあらわにした。
「好きだ、陸人」
 そう耳元で囁くと、真は、熱い舌を陸人の脇の下にわせて、甘い陸人の香りを味わった。舌の動きに合わせて、陸人は、いよいよ「あああゝ」と、甘美な声を抑えることができず、腰をくねらせて快感に耐えようとする。しかし、真は容赦なく、小さな固く勃った陸人の乳首に舌を這わしながら、もう片方の乳首を人差し指の腹で、円を描くように愛撫してくる。
「陸人! 陸人!」
 陸人は、あまりの快感に耐えられなくなり、その真っ赤に潤ませた瞳からは、ついに熱い涙が溢れ出してきた。
「陸人! 陸人! 好きだ! 好きだ!」
 陸人の喘ぎ声に呼応するように、真の興奮は増していき、今や陸人の乳首を産まれたばかりの赤子のような性急さでむさぼり吸っている――


「…………」

 俺は、そっとエロ本を閉じると、そのままぼんやりと天井を見つめていた。

 生まれて初めて……乳首だけでイッてしまった……しかもオナニーで…………。


 ……金玉しぇんしぇ……え…………神ぃ。

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