【完結】大好きなラノベ作家の正体が初めてを捧げたワンナイトラブの相手だったので今すぐに爆発します。

コウヨリモカ@新作ヒーヒー執筆中✏️💦

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第二章 間違いが、正解を教えてくれる。

え!? 入れ替わってる!?

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「……え?」

 たろさんとザギンは、そろって同じようなキョトン顔で、俺を見ている。

「…………今……なんて、言いました?」

 俺は無意識に、2人と心の距離を取るため敬語になっていた。

「え? コイツが、ナマモノBL小説書いてるって話?」

 …………ナッ!?

「…………えっと、そのさっき、俺がどうのとか言ってませんでした?」

「うん、銀田とマミリンの成人向け小説書いてるからね」

「…………せっ」

「あれ? でも、マミリン、作品に罪はないって……」

「いや、罪だろ!」

「……えっ……?」

 たろさんとザギンは、互いに顔を見合わせて首をかしげている。

「……………でしょが」

「…………え?」

「……まさか俺が出てる小説だなんて思わないでしょがぁああああッ!!」

「…………あー……」

 俺の叫びに思わずフリーズ状態の銀田をよそに、たろさんは一人なるほどねという表情で頷いている。

「ナマモノBLは、マミリンの地雷だったかぁー」

 いやいやいや!!

「……どこの世界に、一般人をネタにするプロ作家がいると思います……?」

「え? マミリンは、一般人じゃないよ」

「……は?」

「だって、マミリンは『ボク恋』の宮内杏みやうちあんのモデルだからね」

 説明しよう!

「ボク恋」というのは、俺の大好きな「ボクの初恋の人を紹介します。」という、ラノベ作品のタイトルの略称だ。……そう、つまりは、……銀田が書いた作品のことなのである。

 ……確かに俺は、作品には何も罪はないと言った……けれど、そのことと、エロ同人誌を書かれていることとは、全く別の問題だ。

 今たろさん、銀田が、俺と銀田とのせっ、成人向け小説書いてるって言ったよな……。

 でもだからって、俺が「ボク恋」のキャラのモデルだなんてこと、あるわけなくないか?

 だって、第一、

「……でっ、でも宮内杏は、女性キャラじゃん」

 ハイ、俺であるわけが無い。

「あはは、杏ちゃんは女装キャラなんだよ」

 あるわけが…………。

「は?」

「マミリン、『ボク恋』の裏設定の話、知らないの?」

「……裏……設定!?」

「うん、銀田は、最初はBLモノのラノベ書きたかったんだけど、そのジャンルと設定が、出版社の会議で通らなかったんだよねー」

「……」

「で、どうにかして、自分の書きたいキャラを書くために、裏設定で女装男子ってことにしたんだよね、これ、もちろん公式でも未発表ね」

 そう言いながら、たろさんは、口元に人差し指を当てて「シーッ」とウィンクした。


 宮内杏が、本当は男で、ただ女装してるだけで、そのモデルになってるのが……俺?

「…………」

「じゃあ、マミリンさぁ、試しに宮内杏って10回言ってみてよ」

「……?」

「いーからいーから、深く考えないで、言ってみー?」

「……宮内杏宮内杏宮内杏宮内杏宮内杏……」

「ほらほら、続けて! 宮内杏宮内杏みやうちあんみゃーちあん! ほらね」

 いや、ほらね! じゃねーんだわ!

 なんだそりゃ、単なる言葉遊びじゃねーか。なーにが宮内杏が、俺だっつーの。似てんのは名前と、女装してるとこくらいじゃんか。しかも、こっちは好きで女装してたんじゃねー。

 俺は、げんなりしながら、机の上に置いてある金玉先生の新作を手に取ると、気まぐれにパラパラとページをめくってみた。


 ――宮内杏とは、学校で女装をしているときの仮初かりそめの名前だ。本名は、宮内陸人という――

「ってほぼ俺じゃねぇえぇええかぁああああああッッ!!」

「あ、マミリンやっと分かってくれた?」

「こんなん書いたモン勝ちじゃねぇえええかぁぁあああああッッ!!」

「いやー、モテる男はツラいよねぇー」

「…………」

 ケラケラと笑いながら、そう言う、たろさんの後ろで、黙ったままの銀田がみるみる小さくなっていく。

「……みゃーちゃんに嫌われたらもう……生きていけない……」

「おまー! まーた、そういうくだらんこと言ってマミリンを困らせるんじゃーないよ!」

「……ハァ」

 俺は、もうクソデカため息をつくことくらいしかできない。

「なぁ、マミリンさぁ、元々、悪いのは俺なんだよ。銀田にラノベ書くこと勧めたのも、マミリンとのナマモノBL書くこと勧めたのも、俺なんだ」

「たっ、たろさん……俺を裏切ったの?」

「いや、違うよ。こんなこと、マミリンに言うつもりはなかったんだけど……。ほら、銀田って親に進学校に行くよう言われてて、マミリンと同じ高校に行けなかっただろ?」

「……はぁ」

 まぁ、そりゃあ、ご立派なお家柄なんだろうし、それが普通だろうな。

「それで、ちょっとマミリンのストーカーみたいになっちゃってた時期があって……」

「は!?」

「あー、いや、なんていうか、学校にも行かずに、マミリンの登下校を見張ったり、高校の最寄り駅で待ち伏せして後付けたりしてたみたいでさ……」

 たろさん、そういう人をストーカーって言うんですよ。いろいろ言いたい気持ちはあったけど、もはや、ここまで来ると驚くに値しなくなってくる。

「…………それで?」

「それで、ちょっと銀田を落ち着かせるつもりで、小説を書いてみること勧めてみたんだよね」

「なんで、その流れで小説書かせようってなんの?」

「コイツさぁー、こんなんだけど、実は文才だけはあってさ。中学のときも、感想文書いたら軒並み賞取ってたんだよ」

「…………え」

 そんなん、全然知らなかった。

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