【完結】大好きなラノベ作家の正体が初めてを捧げたワンナイトラブの相手だったので今すぐに爆発します。

コウヨリモカ@新作ヒーヒー執筆中✏️💦

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第二章 間違いが、正解を教えてくれる。

間宮陸人、ついに推しに会える!?

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 いや別にタワマンのオーナーが、銀田の親だからって、銀田がこの部屋の大家ってことになるわけ……なくないか……?

 ……ってもちろん、そんなことは百も承知なんだけど、そもそもパンピーがタワマンを所有できるわけが無いんだから、悔しいけど本人はともかくとして、銀田の親は確実に成金だ。

 俺は銀田の家庭環境のことなんか、何も知らないけど、もタワマンオーナーの後継者の一人であることは確かなわけで……。

 そんなら、パンピー代表の俺にしてみれば、銀田ごときも四捨五入すれば大家と、言えなくも……ない……の……か?

 まぁ、残念ながら俺は、長いものには巻かれろタイプの人間であった……。

 つまり俺は、銀田の自宅に潮噴き跡を残させられたまま渋々、銀田と外出する羽目になってしまったのである。


「…………はぁーーー……」

「どしたの、みゃーちゃん? 深いため息なんかついちゃって」

「…………」

 ……まぁ、いい。どうせ金持ちのことだ、ハウスキーパーくらい雇っていることだろう。その担当者の方には、とんでもない掃除をさせることになってしまって申し訳ないが、運悪く雇い主が変態だったということで、ここは一つご勘弁願いたい……。

 朝からどっと疲れてしまった俺は、銀田と共に、銀田を迎えにやってきた黒塗りの車に乗り込んで、まもなく都内で1番大きな本屋のビルへと到着した。


 8階建てのそのビルは、1階から8階まで、全てが本屋となっている老舗書店だった。電子書籍が主流となりつつある昨今で、まだこの規模の本屋が潰れずに存続していることは、素直に素晴らしいと思う。

 俺の地元の本屋なんて、軒並み潰れてしまった。都内の本屋も時代の波に飲まれていることは例外ではなく、小さな書店は、いくつも廃業してしまっている。

 でも実際のところ、地元の本屋が全部無くなってしまったところで、どうしても紙で欲しい場合は、ネットで買えばいいだけの話だから、俺は一度も困ったことがない。

 ただ欲を言えば、高校の最寄り駅の「ジャンプ堂」だけは、どうか潰れないで欲しいと祈るような気持ちで、未だにたまに、用も無いのにわざわざ足を運んでしまう。

 あの本屋には、高校生の頃の、山田との思い出がたくさん残っているからだ。

 そんな、都合のいい俺だけど、いざ初めて都内唯一とも言える大型書店に足を踏み入れると、床から天井まで、隙間なく立ち並ぶ本棚の、その圧倒的な迫力を目の当たりにして、一瞬で身体が高揚感に包まれてしまった。

 まるで生命が宿っているかのように、一冊一冊の本が、光り輝いて見える。

「……んだ、これ……」

 本屋の入口で、あまりの壮観さに、ぼーっと見惚みとれていると、銀田が心配そうに顔を覗き込んできた。

「みゃーちゃん? 大丈夫?」

「……お、おう」

 すげぇな……本って、作者の魂が刻まれてるんだな……。

 電子書籍ばかり読むようになったせいで、本を読むのも、ネット検索の延長線上の動作くらいにしか思っていなかったけれど、実際に紙に製本された本は、こんなにも威厳を放つものだったのか……。

 俺は、久しく感じていない、胸の高鳴りを覚えた。

 そうだった……そうだったよ。俺が高校のときに出会ったラノベも、まるで宝物のように光って見えたんだっけ。

 初めて手に取った、あの本の重み、匂い、繰り返し読むたびに柔らかく馴染んでいく紙の手触り。あの愛しさよ。そして、何より紙の本は、友達に貸すことだってできる。

 俺は、山田に貸したときのことを思い出していた。

 いやー……ほんっと、金太真琴きんたまこと先生には、かなりお世話になったよなぁー。デビュー作があんなに売れたのに、続編が発表されなかったのだけ、本当に残念だけれども。

 あー、久しぶりに読み返したくなってきたな。でもあれ、最後、気になるところで話終わっちゃってんだよな。だから、どうしても続きが読みてーってなっちゃうんだよなぁ。それがしんどい。

 はぁ……金太真琴先生……いつか気まぐれで新作出してくんないかな……。

「……って、んんん!!??」

「どしたの、みゃーちゃん?」

 銀田の後についてエレベーターに乗り込んだ矢先、俺はエレベーター内に掲示されているポスターの1つに目が釘付けになってしまった。

「……金太真琴先生……待望の……新作!?」

 なんと今さっき、自分が脳内に思い描いていたことが、まんま具現化したような内容のポスターが、そこには貼ってあったのだ。

「……えっ、待ってなにコレ、同姓同名!?」

「……みゃーちゃん? ……あー、それかぁー」

「え!? お前、金太真琴先生のこと、知ってんのか!?」

「いや、知ってるも何も」

「マジか! じゃー、これ何なのか分かるか!? 何このポスター!?」

「え? ……だから、今日は、それのサイン会やるんだよ……あー、メンドイ」

「めんどっ!? って、お前、何超失礼なこと抜かしてんだ!? ってか、なにこの情報!? 非公開!? ぜんっぜん初耳なんだけど、俺!」

「え? スゴい宣伝しまくってたらしいけどね……サイン会の整理券も、一瞬でさばけたみたいだし……ほんとみんな好きダヨネー」

「いや、待て待て待て! サイン会の整理券もう無ぇーの!? ってかお前、このサイン会のためにここ来たんじゃねーのかよ!?」

「いや、もちろん、僕は握手するけどさぁー」

「ハァアァアッ!? なんで!? 俺んは!?」

「いや、みゃーちゃんは別にいらないデショ」

「いるわ! めちゃくちゃにいるわ!」

「えー……なんでよ。……じゃー、えっと……ハイ」

 そう言うなり、銀田は俺の手を取り、ギュッと握ってきた。

「ッダァホー!! ッんでお前と握手せにゃならんのだ!? アホか!!」

「……えぇええ……」

 何故だか、銀田は、不本意そうに眉を八の字にして首を傾げている。

「俺もサイン会に参加したい! 頼む! お前の分を譲ってくれ!」

「……えー……なんでそんな必死なんだろう? まぁ、みゃーちゃんの頼みなら仕方がないかァー」

「…………エッ」


 というわけで、なんと、奇跡的に銀田の謎のコネだかなんだかで、急きょ俺も金太真琴だい先生のリアルサイン会に参加する運びとなったのである。

 やったぁーーーっっ!!

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