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第二章 間違いが、正解を教えてくれる。
エグすぎるほどデカマラの略?
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「銀田がなんの仕事してるか知りたい?」
そう、たろさんに聞かれたとき、内心、ついに来たか! と、心がざわついてしまった。
正直、そのことは、ずっと胸に引っ掛かって、気になっていた。
まず第一に、たろさんとの電話で聞かされた「特殊な仕事」という件についてだ。この世の何をも特殊と思っていないような、たろさんの口から思わずそんな言葉が飛び出したくらいだ……それ相応にヤバい仕事をしているに違いない……。
そして、何より銀田本人が、俺のことをクライアントの女の子だと勘違いしたことも、多分それを裏付けている。
だってそもそも、クライアントって、一体全体なんなんだよ!?
もう響きからして、いわゆる夜の仕事の匂いがプンプンする。言っちゃうとエロい。
マジで、夜中に女の子のクライアントに、何をする仕事してんだっつーの。しかも、その仕事場が、どうやらベッドルームっていうのも、ほぼ黒だろ。エロい仕事で決まりだろうが。
夜中に、女の子と、ベッドルームですることなんて……そんなん……一つだけだろうが……。
なんだか、モヤモヤもやもやと、非常に気分がよろしくない。
うんともすんとも言わず黙りこくった状態の俺を見かねて、たろさんは口を開きかけたみたいだったけど、その言葉を遮るかのように俺は先手を打った。
「……か、身体を使った仕事とか?」
すると、たろさんは、思ってもみない返しだったのか、急にワントーン高い声を出した。
「……まぁ? まー、確かに身体が資本ではあるよね」
「……ちがえられた」
「……え?」
「……俺、客と……間違えられた」
「……客ぅ?」
たろさんは、ますます意味が分からないとばかりに、しばらく「ウーン」と唸っていたが、突如として、
「っあー! なるほど、ソッチの仕事の方ね!」
と、大きな声で一人ごちていた。
「いやいや、ソッチは、仕事っていうよりも、むしろボランティアの意味合いが強いよね」
「……はぁ」
だが、依然として俺は全く腑に落ちない。
「アイツ……ボランティアで女の子抱いてるってこと?」
「……へあ?」
俺が意を決して、そう尋ねると、たろさんは、アホの子みたいな声で驚いていた。
「……いやー、それだけは無いデショ」
「……なんで、そんな言い切れるんだよ?」
「……だってさぁー……だって、アイツ……」
それから、一瞬だけ何かを迷うような間があった。
「EDじゃん?」
たろさんの、予想だにしないその一言に、俺は反射的に絶句してしまう。
返事をするのには、それはそれはだいぶ時間が必要だった。
「…………は?」
マジで「は?」である。
ED?
誰が?
ED??
……え? 今、なんつった??
誰がEDだって???
「いや、マジでアイツ、EDだよ」
「…………」
「っあー、さては疑ってるデショー? だって、アイツ童貞だったでしょ?」
「……ドッ」
いやマジで次から次へと、尋常じゃない内容の情報量がエグくないか……。エグくないですか……? ちょっと、待って……頭ん中、ぐちゃぐちゃになってきた……ちょっと整理する時間ください……。
「……いや……だって……ちゃんと……」
「ちゃんと?」
「……だから……できてたし」
「なにが??」
「…………たろさん、バカにしてんでしょ!?」
「ははは」
いやー、マジでこの男、どこまでが本当のことなんだか、疑わしいぞ……。
「……いや、むしろEDどころか……」
「EDどころか、え? 何て?」
「……いや、EDって、エグすぎるほどデカマラの略でしたっけ……?」
「……ッ!!?? んぎゃはははは!!」
そこから今度は、たろさんの引き笑いを長時間聞かされる羽目になってしまった。
ようやく、たろさんの笑いの発作が治まって来た頃、まだ震える声で、たろさんは言った。
「……いんやぁー、さすが……天才だわマミリンは……」
「…………」
「さすが銀田が惚れるだけのことはあるね」
「…………」
たろさんの言う通り、本当の本当に銀田が、EDだったとして、俺とヤったあんなことやそんなことは、どう考えたら辻褄が合うんだ……?
俺の混乱は全くもって、収まるところを知らない。
「いや……ホント、まさかマミリンに限って、銀田とねんごろな仲になるなんて思わなかったからさ」
「その言い方、マジで辞めてよ……」
「あー……悪い悪い。オジサン、ちょっとかなり驚いちゃったもんで」
「……俺だって……」
そんなの言ったら、コッチだって、おんなじ気持ちだった。まさかまさか、俺が銀田とあんな……。……思い返すだけで、耳が熱くなってくるのを感じる。
「そいや、銀田は、今、外出してんの?」
「……え? あ、いや……ちょっと確認してみないと分からないかも……」
……家が広すぎてな。
「ふぅん、そっか……なぁ、マミリン、銀田の本当の仕事のこと、知りたくない?」
本当の……仕事のこと?
「アイツ……もしかしたら……。もしかして……マミリンに手ぇ出したこと、今さら後悔とかしてるかもなんだよなぁー……」
……ハァ? 俺に……あんなことをしておいて……後悔……だと……?
そんな、俺の無言の圧を電話越しにも感じ取ったのか、慌ててたろさんは付け加えた。
「ごめんね……僕はさ、知ってるもんだから……ねぇ。ほら、マミリンが大吉キュンのこと大好きでたまらないのとおんなじように、アイツがマミリンのこと大好きだってことをね」
「……アイツって……俺のこと……いつから?」
「……そうだねぇー、マミリンの下の毛がまだ生え揃う前くらいからかなぁー」
「オッ、俺を基準にして答えるのやめてよ!」
「アハハッ、ごめんごめん」
「……もー、いいよ」
「……中学のときさぁー。トイレに閉じ込められてたこと、覚えてる?」
「……え?」
言われるまでは、すっかり忘れていた。
そう、たろさんに聞かれたとき、内心、ついに来たか! と、心がざわついてしまった。
正直、そのことは、ずっと胸に引っ掛かって、気になっていた。
まず第一に、たろさんとの電話で聞かされた「特殊な仕事」という件についてだ。この世の何をも特殊と思っていないような、たろさんの口から思わずそんな言葉が飛び出したくらいだ……それ相応にヤバい仕事をしているに違いない……。
そして、何より銀田本人が、俺のことをクライアントの女の子だと勘違いしたことも、多分それを裏付けている。
だってそもそも、クライアントって、一体全体なんなんだよ!?
もう響きからして、いわゆる夜の仕事の匂いがプンプンする。言っちゃうとエロい。
マジで、夜中に女の子のクライアントに、何をする仕事してんだっつーの。しかも、その仕事場が、どうやらベッドルームっていうのも、ほぼ黒だろ。エロい仕事で決まりだろうが。
夜中に、女の子と、ベッドルームですることなんて……そんなん……一つだけだろうが……。
なんだか、モヤモヤもやもやと、非常に気分がよろしくない。
うんともすんとも言わず黙りこくった状態の俺を見かねて、たろさんは口を開きかけたみたいだったけど、その言葉を遮るかのように俺は先手を打った。
「……か、身体を使った仕事とか?」
すると、たろさんは、思ってもみない返しだったのか、急にワントーン高い声を出した。
「……まぁ? まー、確かに身体が資本ではあるよね」
「……ちがえられた」
「……え?」
「……俺、客と……間違えられた」
「……客ぅ?」
たろさんは、ますます意味が分からないとばかりに、しばらく「ウーン」と唸っていたが、突如として、
「っあー! なるほど、ソッチの仕事の方ね!」
と、大きな声で一人ごちていた。
「いやいや、ソッチは、仕事っていうよりも、むしろボランティアの意味合いが強いよね」
「……はぁ」
だが、依然として俺は全く腑に落ちない。
「アイツ……ボランティアで女の子抱いてるってこと?」
「……へあ?」
俺が意を決して、そう尋ねると、たろさんは、アホの子みたいな声で驚いていた。
「……いやー、それだけは無いデショ」
「……なんで、そんな言い切れるんだよ?」
「……だってさぁー……だって、アイツ……」
それから、一瞬だけ何かを迷うような間があった。
「EDじゃん?」
たろさんの、予想だにしないその一言に、俺は反射的に絶句してしまう。
返事をするのには、それはそれはだいぶ時間が必要だった。
「…………は?」
マジで「は?」である。
ED?
誰が?
ED??
……え? 今、なんつった??
誰がEDだって???
「いや、マジでアイツ、EDだよ」
「…………」
「っあー、さては疑ってるデショー? だって、アイツ童貞だったでしょ?」
「……ドッ」
いやマジで次から次へと、尋常じゃない内容の情報量がエグくないか……。エグくないですか……? ちょっと、待って……頭ん中、ぐちゃぐちゃになってきた……ちょっと整理する時間ください……。
「……いや……だって……ちゃんと……」
「ちゃんと?」
「……だから……できてたし」
「なにが??」
「…………たろさん、バカにしてんでしょ!?」
「ははは」
いやー、マジでこの男、どこまでが本当のことなんだか、疑わしいぞ……。
「……いや、むしろEDどころか……」
「EDどころか、え? 何て?」
「……いや、EDって、エグすぎるほどデカマラの略でしたっけ……?」
「……ッ!!?? んぎゃはははは!!」
そこから今度は、たろさんの引き笑いを長時間聞かされる羽目になってしまった。
ようやく、たろさんの笑いの発作が治まって来た頃、まだ震える声で、たろさんは言った。
「……いんやぁー、さすが……天才だわマミリンは……」
「…………」
「さすが銀田が惚れるだけのことはあるね」
「…………」
たろさんの言う通り、本当の本当に銀田が、EDだったとして、俺とヤったあんなことやそんなことは、どう考えたら辻褄が合うんだ……?
俺の混乱は全くもって、収まるところを知らない。
「いや……ホント、まさかマミリンに限って、銀田とねんごろな仲になるなんて思わなかったからさ」
「その言い方、マジで辞めてよ……」
「あー……悪い悪い。オジサン、ちょっとかなり驚いちゃったもんで」
「……俺だって……」
そんなの言ったら、コッチだって、おんなじ気持ちだった。まさかまさか、俺が銀田とあんな……。……思い返すだけで、耳が熱くなってくるのを感じる。
「そいや、銀田は、今、外出してんの?」
「……え? あ、いや……ちょっと確認してみないと分からないかも……」
……家が広すぎてな。
「ふぅん、そっか……なぁ、マミリン、銀田の本当の仕事のこと、知りたくない?」
本当の……仕事のこと?
「アイツ……もしかしたら……。もしかして……マミリンに手ぇ出したこと、今さら後悔とかしてるかもなんだよなぁー……」
……ハァ? 俺に……あんなことをしておいて……後悔……だと……?
そんな、俺の無言の圧を電話越しにも感じ取ったのか、慌ててたろさんは付け加えた。
「ごめんね……僕はさ、知ってるもんだから……ねぇ。ほら、マミリンが大吉キュンのこと大好きでたまらないのとおんなじように、アイツがマミリンのこと大好きだってことをね」
「……アイツって……俺のこと……いつから?」
「……そうだねぇー、マミリンの下の毛がまだ生え揃う前くらいからかなぁー」
「オッ、俺を基準にして答えるのやめてよ!」
「アハハッ、ごめんごめん」
「……もー、いいよ」
「……中学のときさぁー。トイレに閉じ込められてたこと、覚えてる?」
「……え?」
言われるまでは、すっかり忘れていた。
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