【完結】大好きなラノベ作家の正体が初めてを捧げたワンナイトラブの相手だったので今すぐに爆発します。

コウヨリモカ@新作ヒーヒー執筆中✏️💦

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第一章 別れの後に、出会いがある。

好きピのためなら、なんだってする男。

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「……間宮……」

 そう、もう一度、耳元でささやきながら、ザギンは、俺の頭を優しくでてくる。

「……いや……」

 突然の奇行に、俺は唖然あぜんとしながらも、催眠にかけられているわけでもなしに、たかが名前の呼び方一つくらいで、俺の気持ちを変えられるとでも思っているのか、この男は……と、むしろあきれて物も言えなくなっていた。

「好きだよ……間宮……」

 そう言われても……。似ているとこと言えば、背の高さくらいだろうか……。

 いや、山田よりザギンの方が背は高いだろうな……つまり、似ているとこなど、微塵みじんもない。

 自称、山田となった男から、好きだと言われても、むしろ興冷きょうざめするばかりで、冷静さだけが増していくだけだった。

 それにしても……。

 なんでコイツは、山田が、俺のことを名字で呼んでたこと知ってるんだろう……。

 唯一、気になる点があるとすれば、そこだけだ。

 そう、俺と山田とは、高1以来の付き合いだったにも関わらず、お互いに名字で呼び合う仲だった。

 できることなら、俺は、山田と下の名前で呼び合いたかったのだけど、俺が「ミャーちゃん」と呼ばれるのが嫌だったように、山田は自分の名前をかなり嫌っていたのだ。

 別にそのせいで、とは思わないけど、どんなに付き合いが長くなっても、俺は、山田との間に、どうしても埋めることのできないみぞを感じていた。

 それは、もしかしたら、お互いが相手に抱く、本心の食い違いが原因だったのかもしれない。

 俺の感情が、あまりにも大きすぎたのだろう。それが、ときたま、猛烈に寂しくなるときがあった。山田への想いが、どうにもならないことが、打ち明けることすらできないことが、ただ、ただ、寂しい。

 でも、もし、その寂しさを我慢してもなお、ほんの少しの距離を保ち続けることができたなら、俺たちは、あんなことにはならなかったはずだ。

 その方が良かったのか、どうか、俺には分からない。山田にとっては、もちろん、その方が良かったに決まっている。そう出来なかった俺にはただ、勢いで溝を踏み越えようとして、つまずいて転んでできた、膝の擦り傷だけが残った。

 ふと、天啓てんけいのように、思う。

 ああ、もしかしたら、もう二度と山田に名前を呼んでもらえなくなるかもしれない。名字すらも……。あの、優しい声で。

 初恋の片思いをこじらせに拗らせた挙げ句の果てが、嫌いな相手に、好きな男の代わりになるよと、頭を撫でられて名前を呼ばれていることだなんてさ。

 あまりにも無様すぎんだろ……。


「……間宮……えっ、みゃ……ミャーちゃん?」

 虚しさと絶望に目頭が熱くなって、ボロボロと涙が溢れ出てきたかと思いきや、気が付けば俺は、ザギンにしがみつくようにして、うわんうわんと、大声をあげながら泣きじゃくっていた。

 そういえば、山田に拒絶されてから、泣いたのは初めてだった。

 ザギンに「間宮」呼びされて、えたせいで、冷静になった頭に、山田に振られた事実が、やっと届いたのだろう。

 わんわん泣き続ける俺を前に、ザギンは、オロオロとしていたようだったけど、「ヨシ!」と謎の掛け声と同時に、俺を抱きかかえて歩き出した。いわゆるお姫様抱っこという、とんでもない抱き方だったが、そんなことに構う余裕は当然なかった。

 ザギンは玄関のドアを開けると、躊躇ちゅうちょすることなく、俺を抱きかかえたまま外へと出た。ザギンがどこへ向かっているのか、全く予想がつかなかったが、もはやこれ以上かく恥もないだろうという負け犬の精神で、もはや俺は考えることを放棄していた。

 しばらくして、ウィーンと、自動ドアの開くような音がした。どうやら、どこかに入ったらしい。

 高級タワーマンションなだけあって、スーパーか何かが入っているのかもしれない。

 ……ん? いやでも、号泣しながらお姫様抱っこされてる女装男がスーパーに行くとかアウトじゃね?

 いや……待てよ、ちょっと待った……てか、待て待て待て待て! 俺ら、そもそも今、ほぼ全裸じゃね?

 ……………………。

 人としての尊厳が踏みにじられるという本能的な理性によって、俺がザギンの胸からおそるおそる顔を上げたとき、信じられない光景が目に飛び込んできた。

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