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第一章 別れの後に、出会いがある。
人には色んな性癖がある。
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「……いや、マジで何処だよ……」
男の家の風呂の用意をするため探すも、一向に浴室を見つけられない。
俺は、いくつもある部屋のドアを、当てずっぽうで開けては閉める、を繰り返していた。
玄関から細長く続く廊下の両側に、まるでホテルのように部屋が立ち並んでいるのだが、最初に男と居たベッドルーム以外、どの部屋も空っぽ状態のスケルトンで、家具の一つすら置かれていなかった。
まるで空き物件の内覧でもしているみたいな気分だな。
「……どんだけ広いんだよ……こんな化け物みたいな部屋の家賃なんて、考えたくもないな……」
東京の一等地の、タワーマンションの最上階の部屋を普通に借りて住めるなんて、一体どんだけ稼ぎがありゃー出来るんだっつの……。
アイツ……マジで何の仕事してやがるんだ……?
ふと、中学時代のことを思い出した。
ミャーちゃん、ミャーちゃん、と毎日飽きもせずに俺の席にやってきて、ウザ絡みしてきたアイツのことを。
ミャーちゃん、可愛いね、とやたらと俺の犬歯を見たがっていたアイツのことを。
ミャーちゃん、すごく柔らかいんだね、と髪の毛に触れてきたアイツのことを。
「…………」
幼かったアイツの顔が、先ほどまでのアイツの顔に重なっていく。
すっかり大人びた今も、あの潤んだ熱っぽい目線は、中学のときのままだった……。
「…………ザギン」
気がつくと、自然とアイツのあだ名が、口から零れ出ていた。でも、耳にするのも嫌なほどだったから、その名前を口にするのは初めてのことな気がする。
「……ッ!?」
ズクンッ……。
ただ名前を呼んだだけなのに、急に俺の下腹部が疼き始めた。
もう全てを出し尽くして、使い物にならないはずの俺のチ◯コが、急に熱を持ち始めたものだから、さすがに焦ってしまう。
自分の身体に起こった反応を誤魔化すかのように、俺は足早に廊下の突き当たりにあたる部屋のドアを開けた。
そこは、リビングだった。
リビングとは言っても、いわゆるLDKに値する部屋なんだろう。一般的な部屋で例えるならば……。
「……は?」
その後の言葉が何一つ出て来なかった。あまりにも、広すぎるのだ。散々、男の規格外なレベルの部屋を目の当たりにしてきても尚、言葉を失うほどに豪華すぎるリビングルームだった。
まず、全面ガラス張りになっている。
大きさは……20畳……いや、50畳はあるだろうか……。ぶっちゃけ、この規模の部屋を見たことがないから、とにかく広いことしか分からない。
見るからに高級そうな、黒い革のL字型のソファーや、鏡のように艷やかに光っているダイニングテーブル、そして当然のように王様みたいにバカでかいオープンキッチン。
とりあえずの生活をするための家具や家電なども、一通り揃えてあるようだった。
それら全てを、ガラス窓が取り囲んでいる。
つまり、リビングルームのどこからでも、東京の夜景が見渡せるようになっていた。
「マジでとんでもねぇとこに住んでやがる……」
中学時代は同じ教室で過ごしていた同級生と、自分とで、何がどう違ったら人生こんな感じになれるんだ……? いや、何もかも間違えてんのは、俺だけか……。
俺はソファーにほど近い窓に手を当てて、東京の景色を眺めてみた。
もう、夜は立ち去ろうとしている。仄明るく照らされ始めている街で、まだ早朝だというのに、すでに多くの人達が活動しているのが見えた。
「……ミャーちゃん」
ドキリとして振り返ると、ザギンがリビングの入口に立っていた。
手にしている黒い服は、さっき俺の精液でビショビショにしてしまった彼のトレーナーだろう。
下は脱いだままザギンは、素っ裸で突っ立っている。
さすがにバツが悪くて目を反らしながら、
「……あ、ああ、起きたのか、お前、身体は大丈夫か?」
そう聞くと、ザギンは途端に相好を崩し、
「ミャーちゃん、優しいね」
そう言いつつ、見る間にチ◯コを勃たせたので、俺はギョッとしてしまう。
いや、嘘だろ……。
こんなとこから逃げられるわけもないのに、思わずガラス窓にへばり付いて身構えてしまった。
しかし、ザギンは、予想に反してチ◯コを勃たせながらも、キッチンの方へスタスタと歩いていく。
俺は、ホッと胸をなで下ろし、あー、服を洗濯でもすんのかな? などと、ぼんやり考えていた。
でも、ザギンは手にした服をキッチンテーブルの上に、そっと置くと、シンクの引き出しをあちこち開けて、何やら探し始めた。
しばらくして、取り出したのはジップ式のキッチン収納袋で、何を思ったのか、その袋の中にトレーナーを詰め込みだしたのだ。
袋のサイズ的に、とても入りきりそうには無いのに、ザギンは終始真剣な顔をして、ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるものだから、フツーに怖くなる。
「……なっ、何やってんだ?」
すると、ザギンは、うっとりとした表情で、
「保管してるんだよ」
そう答えたものだから、俺は余計に混乱してしまう。
「……は? なんで保管? いや、洗ってからやれよ」
「そんな、もったいないこと出来るわけないでしょ」
「……いや、何言ってんだ、お前……」
「だって、これには、ミャーちゃんの精子がたっぷり吸収されてるんだよ、そんなの保管するに決まってる」
「??????」
……え? ……コイツ、
……や
……や
……ヤバ
……やばいやばいやばいやばいヤバすぎんだろ!?
男の家の風呂の用意をするため探すも、一向に浴室を見つけられない。
俺は、いくつもある部屋のドアを、当てずっぽうで開けては閉める、を繰り返していた。
玄関から細長く続く廊下の両側に、まるでホテルのように部屋が立ち並んでいるのだが、最初に男と居たベッドルーム以外、どの部屋も空っぽ状態のスケルトンで、家具の一つすら置かれていなかった。
まるで空き物件の内覧でもしているみたいな気分だな。
「……どんだけ広いんだよ……こんな化け物みたいな部屋の家賃なんて、考えたくもないな……」
東京の一等地の、タワーマンションの最上階の部屋を普通に借りて住めるなんて、一体どんだけ稼ぎがありゃー出来るんだっつの……。
アイツ……マジで何の仕事してやがるんだ……?
ふと、中学時代のことを思い出した。
ミャーちゃん、ミャーちゃん、と毎日飽きもせずに俺の席にやってきて、ウザ絡みしてきたアイツのことを。
ミャーちゃん、可愛いね、とやたらと俺の犬歯を見たがっていたアイツのことを。
ミャーちゃん、すごく柔らかいんだね、と髪の毛に触れてきたアイツのことを。
「…………」
幼かったアイツの顔が、先ほどまでのアイツの顔に重なっていく。
すっかり大人びた今も、あの潤んだ熱っぽい目線は、中学のときのままだった……。
「…………ザギン」
気がつくと、自然とアイツのあだ名が、口から零れ出ていた。でも、耳にするのも嫌なほどだったから、その名前を口にするのは初めてのことな気がする。
「……ッ!?」
ズクンッ……。
ただ名前を呼んだだけなのに、急に俺の下腹部が疼き始めた。
もう全てを出し尽くして、使い物にならないはずの俺のチ◯コが、急に熱を持ち始めたものだから、さすがに焦ってしまう。
自分の身体に起こった反応を誤魔化すかのように、俺は足早に廊下の突き当たりにあたる部屋のドアを開けた。
そこは、リビングだった。
リビングとは言っても、いわゆるLDKに値する部屋なんだろう。一般的な部屋で例えるならば……。
「……は?」
その後の言葉が何一つ出て来なかった。あまりにも、広すぎるのだ。散々、男の規格外なレベルの部屋を目の当たりにしてきても尚、言葉を失うほどに豪華すぎるリビングルームだった。
まず、全面ガラス張りになっている。
大きさは……20畳……いや、50畳はあるだろうか……。ぶっちゃけ、この規模の部屋を見たことがないから、とにかく広いことしか分からない。
見るからに高級そうな、黒い革のL字型のソファーや、鏡のように艷やかに光っているダイニングテーブル、そして当然のように王様みたいにバカでかいオープンキッチン。
とりあえずの生活をするための家具や家電なども、一通り揃えてあるようだった。
それら全てを、ガラス窓が取り囲んでいる。
つまり、リビングルームのどこからでも、東京の夜景が見渡せるようになっていた。
「マジでとんでもねぇとこに住んでやがる……」
中学時代は同じ教室で過ごしていた同級生と、自分とで、何がどう違ったら人生こんな感じになれるんだ……? いや、何もかも間違えてんのは、俺だけか……。
俺はソファーにほど近い窓に手を当てて、東京の景色を眺めてみた。
もう、夜は立ち去ろうとしている。仄明るく照らされ始めている街で、まだ早朝だというのに、すでに多くの人達が活動しているのが見えた。
「……ミャーちゃん」
ドキリとして振り返ると、ザギンがリビングの入口に立っていた。
手にしている黒い服は、さっき俺の精液でビショビショにしてしまった彼のトレーナーだろう。
下は脱いだままザギンは、素っ裸で突っ立っている。
さすがにバツが悪くて目を反らしながら、
「……あ、ああ、起きたのか、お前、身体は大丈夫か?」
そう聞くと、ザギンは途端に相好を崩し、
「ミャーちゃん、優しいね」
そう言いつつ、見る間にチ◯コを勃たせたので、俺はギョッとしてしまう。
いや、嘘だろ……。
こんなとこから逃げられるわけもないのに、思わずガラス窓にへばり付いて身構えてしまった。
しかし、ザギンは、予想に反してチ◯コを勃たせながらも、キッチンの方へスタスタと歩いていく。
俺は、ホッと胸をなで下ろし、あー、服を洗濯でもすんのかな? などと、ぼんやり考えていた。
でも、ザギンは手にした服をキッチンテーブルの上に、そっと置くと、シンクの引き出しをあちこち開けて、何やら探し始めた。
しばらくして、取り出したのはジップ式のキッチン収納袋で、何を思ったのか、その袋の中にトレーナーを詰め込みだしたのだ。
袋のサイズ的に、とても入りきりそうには無いのに、ザギンは終始真剣な顔をして、ぎゅうぎゅうに詰め込んでいるものだから、フツーに怖くなる。
「……なっ、何やってんだ?」
すると、ザギンは、うっとりとした表情で、
「保管してるんだよ」
そう答えたものだから、俺は余計に混乱してしまう。
「……は? なんで保管? いや、洗ってからやれよ」
「そんな、もったいないこと出来るわけないでしょ」
「……いや、何言ってんだ、お前……」
「だって、これには、ミャーちゃんの精子がたっぷり吸収されてるんだよ、そんなの保管するに決まってる」
「??????」
……え? ……コイツ、
……や
……や
……ヤバ
……やばいやばいやばいやばいヤバすぎんだろ!?
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