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第一章 別れの後に、出会いがある。

トラウマ男と初体験でぴえん。

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「……ミャーちゃんなの?」

 男は噛みしめるように繰り返し聞いてきた。

 もちろん、その呼び名に心当たりが無いはずもない。なにしろ、トラウマを植え付けられた中学時代のしき思い出なのだから。

 男にそう呼ばれた途端、悪魔に取り憑かれたくらいに制御不能になっていた俺の完勃ちチ◯コが、嘘のように一瞬でシナシナになってしまった。

 まるで誰にも手が付けられないと有名だったヤンキーが、ある日突然、頭を黒染めして登校してきたみたいに……。

 あんなに暴れ回ってたけど、なんだ……ただの反抗期だっただけか……。

 すっかり落ち着いて、一皮けてご立派になられて……これからがとても楽しみな息子さんですよね……。

 けど、いくら俺の反抗期が終わっても、俺のケツの穴にチ◯コがズッポリまってる事実は消えないわけで……。

「……ミャーちゃんに会えるなんて……夢みたいだ……」

「…………」

 興奮して噴き出した汗はとっくに引いて、今度はダラダラと変な汗が止まらない。

「ミャーちゃんが僕をこんなに求めてくれるなんて、嬉しいよ」

 そう、うっとりと話す男の瞳は、やはりぼんやりとして少しうるんで見える。

「……いや……、その……これは何かの手違いで……」

 必死に言い訳を探しながら、俺はさりげなく、男のバキバキのチ◯コを、身体から抜き取ろうとした。

 すると、さっきまでポヤポヤして見えた男が、ものすごい速さで俺の腰を両手で押さえ込んできた。

 おかげで、せっかく抜けそうだったチ◯コが、改めて奥までズッポリと嵌め直されてしまった。

「……んあア゛ッ!?」

 電気のような快感がビリビリと下半身から全身に向けて走った。

 女装してるのに、なんで……なんで俺ってバレたんだ? 最初会ったときには、知り合いだなんて気配ちっとも感じなかったのに……。

 思わず頭を抱えて、ハッとした。

 いつの間にか俺がかぶってたはずの女装用の金髪ロングのカツラが、取れて無くなっていたのだ。

 アタフタとしている姿を見て、男は少し微笑んだような顔をして、言った。

「ミャーちゃんは、僕のこと、覚えてないかな?」

「……ッ!?」

 ドキッとした。

 もちろん中学の同級生の誰かであることは分かる。地獄の「ミャーちゃんいじり」が始まった中3のときのクラスの男……。

 ぶっちゃけ思い浮かんだのは一人だけだった。

「…………ザギン」

「……あぁ、」

 男は満足そうに微笑んだ。

「確かに、そう呼ばれていたかも」

 当時、ザギンに身勝手に髪に触られたせいで、かたくなったチ◯コがしずまるまで、トイレで必死に耐えてやり過ごしていた、あの日々。

 しかも、それきっかけで、精通してしまい、夜な夜な、妄想の男達に組み敷かれるのを想像しながら、オナニーし続けた、あの日々。

 自分の身体は、男にしか反応しないと思い知らされた、あの日々。

 俺がかつてのあだ名で呼ぶと、で、男はさらに膨張ぼうちょうして硬くなった。

 そもそも許可なく男のチ◯コを嵌め込んだのは、他ならぬ俺なので、もはや何の言い逃れのしようもない。

 でも、なんで、よりによって、初めての相手が、トラウマになった張本人なんだよ……。

 適当にからかって面白がって、俺の未成熟の心と身体に勝手に触れて、こじ開けて、揺さぶって性を目覚めさせられた……その男に。

 長年の片思いをこじらせに拗らせた挙げ句が、この結果だなんて、なんて皮肉な話だろう。

 もはや自傷行為に近いな、こんなの。

 俺が、10年振りに再会した元同級生のチ◯コを挿れたまま、そう途方に暮れていると、

「……そういえば、ミャーちゃん。……どうして僕に連絡くれたの?」

 つい先ほどまでのフワフワと浮足立った声音を、やや強張らせ気味にして、男が聞いてきた。

「……どうしてって……」

 まさか、何も説明されてねーのか、コイツ……。

「……えっと、たろさんは何て……?」

 すると、心底驚いたように言われた。

「え? たろさんて……太郎のこと?」

 俺は黙って頷く。

「……えっ!? ミャーちゃんって、僕のクライアントの女の子じゃなかったの?」

「…………」

 やっぱりか。ってか、クライアントってなんだよ。めちゃめちゃ怖すぎるんですけど!

「……勘違いさせてたなら、悪いけど。とりあえず、一旦、どいてもらって……うあっ!?」

 俺がそろりと腰を浮かせようとすると、再度、男は腰を掴む腕に力を入れてきた。

 チ◯コを挿入されたままの体勢に、限界を感じ始めた俺は、もう内心どうにか動いてほしくて堪らない。早いとこ、何とか男のチ◯コを引き抜かなくては……理性も本能もブッ飛びそうだ。

 そんな俺の気などお構いなしに、男は硬い表情とチ◯コを崩すことなく続けた。

「……太郎からは、僕のファンの子が終電逃して家に帰れなくて困ってるから助けてやってとだけ聞いてるけど……」

「……お前の、ファン?」

 は? オイオイ、たろさん何言ってくれちゃってるんだ……。

「……違うよね?」

「……ああ」

 きっと、たろさんは、山田に振られて行き場のない俺を、どうにか助けたかったが故の嘘だろうけど、今となっちゃ、かなりタチが悪い……。

「…………」

 ……あ。でも、ちょっとえてきてるぞ、ヨシ!

 あと一息だ。

「……俺はただ、失恋しただけで……」

「は?」

「……え? だから、男に振られて……んアッ!?」

 予想に反して、が、猛烈な勢いで、息を吹き返した。さんざ自分で開発し抜いたケツの穴が、男のチ◯コをくわえきれずにメリメリとひろげられていくほどに。

「……うっ……あっ、……アッ!?」

「……どこの誰?」

「……えっ?」

「そいつ」

 突然、ゾッとするような寒気を感じて、思わず口走ってしまう。

「……やっ、山田……」

「太郎?」

「……えっ、あっ……」

 同じ人間から発されているとは思えないほど、急激に低くなった声に、俺は恐怖すら感じ始めた。

「相手の男は太郎なのかって聞いてる」

 男の声は、もはや殺意に近かった。

「答えろ、陸人りくと

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