【完結】大好きなラノベ作家の正体が初めてを捧げたワンナイトラブの相手だったので今すぐに爆発します。

コウヨリモカ@新作ヒーヒー執筆中✏️💦

文字の大きさ
上 下
6 / 48
第一章 別れの後に、出会いがある。

まさかの警察沙汰!?

しおりを挟む
 電話の男に言われた通りにマンションの入口を探すと、なるほど確かに自動ドアの入口が見つかった。

 自動ドアとはいえ、建物自体がバカでかすぎるせいで、隠し通路の入口みたいに思える。

 意外にもドアの大きさ自体は、俺の地元にあるような普通のマンションのそれと変わらないくらいだ。

 まあ、ドアのサイズにだって規格があるわけだし、そんなの当たり前っちゃー当たり前の話なんだが……。

 イメージ的には、東京ドームの入口くらいのドアが付いていてもおかしくないくらいのマンションではある。


 入ってすぐそこは、エントランスになっているようだった。

 そこまで広いとも思わないが、向かって右奥にコンシェルジュの受付があって、左手奥にはエレベーターがいくつも並んでいる。

 それ以外は、ほとんどただのスペース状態でガランとしていたが、入ってすぐの左手前に見るからに高そうなソファーと、バカでかいクリスマスツリーが飾ってあった。

 ツリーの足元には、インテリアとしてキラキラとしたプレゼントの箱がいくつも置いてあって、もちろんそういう演出なんだろうけれど、とにかくめちゃくちゃセンスがいい。

 俺の仕事でも、こういう空間デザインを扱うことも実はあるんだけど、素人目にも確実にプロの手が入っているのが一目見てよく分かった。

 でも、男の姿はどこにも見当たらない。

 俺は、まさかヨレヨレの女装姿でコンシェルジュに話しかけるわけにもいかず、ましてやソファーに腰掛けて男が来るのを優雅に待つこともできず、クリスマスツリーの近くまで行くと、ぼんやりと立ち尽くすより他なかった。

 仕方がないから、いかにも、ツリーがキレイだから、ちょっと見ているだけですよ、的な感じを強引に装うことにした。

 もちろん、午前3時過ぎにボロボロの格好でクリスマスツリーを見上げている女装をした、ただのヤバ過ぎる男でしかない。

 まだ誰も座らせたことのないような、お飾りみたいにピカピカな高級ソファーを横目に、俺とお前とどっちが虚しいんだろうな、なんてさげすみたくなる。


 しかし、こういう場違いなところに来ると、本当に自分のちいささを思い知らされるようで、しんどいもんなんだな……。

 ついさっきまで趣味の悪いラブホにいたせいで、余計にそんな惨めな気持ちがした。

 こんな時間に人が出入りするとも思えないけど、せめて、できるだけ人目につかないようにして待とう。

 ツリーの陰になっている辺りに身を隠そうとすると、スマートな機械音と共にエレベーターのドアが開いて、中からモデルのようにスラリとした長身の男が現れた。

 その見た目に、思わず俺は一瞬思考が停止してしまう。

 髪が銀色だったのだ。


「……アッ……!?」

 その姿を目にすると、俺は自分の状況は全て忘れ去ってしまって、挨拶さえもできずに、口を開きかけたまま、マジマジと男を凝視してしまった。

 長身の男は、エントランスまで来ると、キョロキョロと周囲を見回していたが、ほどなくして言葉を無くして立ち尽くしたまま、子供みたいな出来損ないの隠れんぼをしている俺の姿が目に止まったようだった。

 俺の女装姿のせいか、一瞬、足が止まったが、男は、思い直したように足早に俺の元へと近づいてきた。

「警察には?」

 そう、眼の前までやってきた男に、開口一番に言われた。


 へ?

 ケーサツ??


 思いもよらない言葉に、俺は自分に対して掛けられたという実感が湧かずに、しばらくぼんやりと頭の中でその言葉をはんすうしていた。

 今、ケーサツ……っつったよな。ケーサツって言えば、いわゆる、おまわりさんのこと?

 ケーサツには???

 えっと……つまり、俺はケーサツに、行けと?

 ……自首しろってこと!?

 そこで、ようやくサーッと頭のてっぺんから一気に血の気が引いていった。

 えっ……待って待って!

 ちょっ、え。

 なんの罪で??

 ……えっ、心当たりがありすぎて逆にどうしよう……。


「大丈夫?」


 しかし、パニック状態になっている俺に、男は意外なほど慈悲深い眼差しで、労りの言葉を投げかけてきたのだった。

 俺に優しく自首を促してくる、この銀髪の男。

 実は、俺の大好きなラノベ作品の推しキャラに激似だったのである。

 マジで……本当に、どうしよう!?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

鈍感モブは俺様主人公に溺愛される?

桃栗
BL
地味なモブがカーストトップに溺愛される、ただそれだけの話。 前作がなかなか進まないので、とりあえずリハビリ的に書きました。 ほんの少しの間お付き合い下さい。

家族になろうか

わこ
BL
金持ち若社長に可愛がられる少年の話。 かつて自サイトに載せていたお話です。 表紙画像はぱくたそ様(www.pakutaso.com)よりお借りしています。

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~

みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。 成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪ イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...