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第二章(謎解きのおわり)
無自覚の極み。
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柄にもなく、ツイッターなどを開設してまで、追いかけ続けていた推しには、こんなにもあっさりと会えたというのに……。
何が悲しくて、高校時代の親友に連絡を取るのに、これほどまでに試練をかいくぐらなければならないのか……。
でもいい加減に、これ以上の意味不明な展開は絶対に起きないに決まってる……。ゼッタイに、もうダメだからね。
「……あの……どうして太郎さんが間宮のスマホを持ってるんでしょうか?」
まさか家族!? いや、でも間宮と太郎さんは系統的に似ても似つかないぞ。……義理の兄弟? え? 待って、義理の兄弟ってスマホの貸し借りとかすんの……?
まさか……流行り?
それとも……まさか!
「……あー、んーと、マミリンとは、まあー……友達以上の関係?」
「!!??」
えっ、ばっ、待って、この人、今、間宮のことマミリンって言った!?
……えっ、マミリンって何事!?
えっ、ぶぁっ、それって、要するに……。
「……だからマミリンはー、恋の、ライバル?」
……ハイ、出たよ。あー、ハイハイ。
「……あのですね」
「ん?」
ここいらで、いい加減に、白黒ハッキリさせておかないとな。
「仮に、太郎さんが言ってることが本当だとして……」
「だってホントだもん」
「……ええと、んー……まあ、いいや。間宮の気持ちについてまでも勝手に暴露したのは……良くないことですが、この際、それは置いておくとして……」
こんな前置き、言ってる自分が一番面倒くさい。
「もし、本当にお二人が、僕のことを……す、す……好きだとして」
ちょっとなにこれ、恥ずかしさのレベルが罰ゲームなんですけど。
「僕が、そのことを素直に信じられると思いますか? 間宮もあなたも、傍から見てもかなり人目を引くタイプの華やかな人達ですし、そんな一軍キャラが僕なんかのことを好きになるわけ無いじゃないですか……」
「……え?」
やっとの思いで僕が、そこまで説明すると、太郎さんだけでなく、女の子たちまでも、全員の目が点になっていた。
「……え? 待って待って」
太郎さんが、心底驚きを隠せないという体で、僕に身体ごと詰め寄ってきた。
「……なに、お前って、自分のこと、どう思ってるわけ?」
「……どうって」
本人の口から、そんなことを言わせるだなんて、太郎さんもかなり人が悪い。けれど、僕は今さら何を言ったってな……と、諦めの境地で打ち明けた。
「……三軍?」
「……三軍」
太郎さんがオウム返しのように重ねてくる。
「……だから、つまり、根暗の陰キャ?」
「……」
ついさっきまで、あれほど騒々しかった店内に、突然の静寂が訪れていた。いや、本来あるべき姿に戻っただけのことだ。
すると、しばらく何かを熟考していたかに見えた太郎さんは、ふと、女の子たちを振り返って、尋ねた。
「ねえ、オレの好きな人って、三軍で根暗の陰キャなんだった……っけ?」
「……たろちゃん、冗談言うならちゃんと最後まで笑わずに言わないとダメじゃん」
「……くっ、ププッ。うん……うん、ごめんごめん」
いや、だから……何がだよ。
お願いですから内輪ネタで勝手に温まるのだけは辞めてくれませんかね。
自分で自分を貶すようなことを言わされて、かなり僕はセンシティブモードになっていた。
「……んじゃ、ハーイ! 質問を変えるわ」
太郎さんは、ヒョイっと僕に向き直って右手を掲げた。
そして、そのまま、僕を指差した。
「ハイ、みんなあ、この人は、だあーれだ?」
女の子たちは、打ち合わせでもしてきたかのように完璧に声を合わせて、せーので答えた。
「バチくそイケメンでーす!」
何が悲しくて、高校時代の親友に連絡を取るのに、これほどまでに試練をかいくぐらなければならないのか……。
でもいい加減に、これ以上の意味不明な展開は絶対に起きないに決まってる……。ゼッタイに、もうダメだからね。
「……あの……どうして太郎さんが間宮のスマホを持ってるんでしょうか?」
まさか家族!? いや、でも間宮と太郎さんは系統的に似ても似つかないぞ。……義理の兄弟? え? 待って、義理の兄弟ってスマホの貸し借りとかすんの……?
まさか……流行り?
それとも……まさか!
「……あー、んーと、マミリンとは、まあー……友達以上の関係?」
「!!??」
えっ、ばっ、待って、この人、今、間宮のことマミリンって言った!?
……えっ、マミリンって何事!?
えっ、ぶぁっ、それって、要するに……。
「……だからマミリンはー、恋の、ライバル?」
……ハイ、出たよ。あー、ハイハイ。
「……あのですね」
「ん?」
ここいらで、いい加減に、白黒ハッキリさせておかないとな。
「仮に、太郎さんが言ってることが本当だとして……」
「だってホントだもん」
「……ええと、んー……まあ、いいや。間宮の気持ちについてまでも勝手に暴露したのは……良くないことですが、この際、それは置いておくとして……」
こんな前置き、言ってる自分が一番面倒くさい。
「もし、本当にお二人が、僕のことを……す、す……好きだとして」
ちょっとなにこれ、恥ずかしさのレベルが罰ゲームなんですけど。
「僕が、そのことを素直に信じられると思いますか? 間宮もあなたも、傍から見てもかなり人目を引くタイプの華やかな人達ですし、そんな一軍キャラが僕なんかのことを好きになるわけ無いじゃないですか……」
「……え?」
やっとの思いで僕が、そこまで説明すると、太郎さんだけでなく、女の子たちまでも、全員の目が点になっていた。
「……え? 待って待って」
太郎さんが、心底驚きを隠せないという体で、僕に身体ごと詰め寄ってきた。
「……なに、お前って、自分のこと、どう思ってるわけ?」
「……どうって」
本人の口から、そんなことを言わせるだなんて、太郎さんもかなり人が悪い。けれど、僕は今さら何を言ったってな……と、諦めの境地で打ち明けた。
「……三軍?」
「……三軍」
太郎さんがオウム返しのように重ねてくる。
「……だから、つまり、根暗の陰キャ?」
「……」
ついさっきまで、あれほど騒々しかった店内に、突然の静寂が訪れていた。いや、本来あるべき姿に戻っただけのことだ。
すると、しばらく何かを熟考していたかに見えた太郎さんは、ふと、女の子たちを振り返って、尋ねた。
「ねえ、オレの好きな人って、三軍で根暗の陰キャなんだった……っけ?」
「……たろちゃん、冗談言うならちゃんと最後まで笑わずに言わないとダメじゃん」
「……くっ、ププッ。うん……うん、ごめんごめん」
いや、だから……何がだよ。
お願いですから内輪ネタで勝手に温まるのだけは辞めてくれませんかね。
自分で自分を貶すようなことを言わされて、かなり僕はセンシティブモードになっていた。
「……んじゃ、ハーイ! 質問を変えるわ」
太郎さんは、ヒョイっと僕に向き直って右手を掲げた。
そして、そのまま、僕を指差した。
「ハイ、みんなあ、この人は、だあーれだ?」
女の子たちは、打ち合わせでもしてきたかのように完璧に声を合わせて、せーので答えた。
「バチくそイケメンでーす!」
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