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第一章(謎解きのはじまり)
ファーストキス。(⚠R18)
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僕は、僕の精液を躊躇なく飲み込んでしまったらしい間宮の顔を、未知の生物でも見るような思いで眺めた。
「……なんだよ」
間宮は、さすがに、目を泳がせて少しは動揺しているように見えた。そして、僕は、好奇心を抑えきれない、悪い癖がまた出てしまった。
「……それって、その……どんな味すんの?」
「……は?」
「……まさか、美味しいの?」
「んなの、マズいに決まってんだろ!!」
間宮は、八重歯を剥き出して叫んだ。あ、これは本気で怒ってるパターンだ。
でも、頭を抱えたくなっているのは、こっちだって、おんなじだった。間宮がやることなすこと、何一つ理解できない状態だった。こういう酒癖の悪さっていうのも、あるものなのか……?
「……だからだよ」
俯きがちに、間宮は、ボソボソと何やら呟いた。
「……え?」
「お前んだからだよ! お前のだから飲んだんだよ! 分かるか!? 超マズいのにな! なんでだろうな!? お前には分かんねえだろうな! オレが……どんな思いで、ずっと……」
突然早口で、ツバを飛ばしながら、そう捲し立てるので、僕は思わず手を顔の前に広げていた。
それに気がつくと、間宮は、急に空気の抜けた風船のように黙り込んだ。
「……ほんとに、こんなのの何がいいんだよ……」
間宮は思い詰めたように、どこか一点を凝視したままボソリと呟いた。不安になって、慌てて僕が口を開く。
「……あのさ、小学校って確か別だったよな?」
「は? なに、急に」
「いや僕、小学んときに、大ちゃんって呼ばれてたからさ」
「……はっ。それで俺が同小だとでも思ったって?」
「いや、純粋に疑問で、」
「お前と俺が同じ小学なわけねえだろ! 住んでる駅だって違ってたのに……」
そのとき間宮が、急に目をうるませたように見えたので、僕は慌てた。
「……間」
「山田なんて名字のヤツなんてな、五万といんだよ」
「……え?」
「高1んときだって、隣のクラスに山田2人いたし……、お前、高2のとき、女子の山田もいたから、先生らに下の名前で呼ばれてたろ」
驚いた。そんなの、自分でも忘れていたことだ。
「……よく知ってるな」
「……ハハッ」
泣きそうな顔をしているのに間宮は何故か笑った。
「お前のことなら、なんだって知ってる」
「……」
「お前が知らないお前のことだって知ってる」
「……え?」
僕が興味を抱いたことに、気がついたのか、間宮は久しぶりに目を合わせてきた。
「知りたいか?」
「……」
「じゃー、口開けてみて」
言いながら間宮が口を開けたので、つられて僕も口を開けた。
すると、間宮が僕に抱きついてきたかと思うと、僕の口の中に、赤い舌を押し込んできた。
「!!??」
そのまま僕たちは、2人でベッドに転がった。間宮は、僕が両手で肩を必死に押すも体重を掛けることで、いとも簡単に対抗してみせた。
咄嗟の機転で、僕が、間宮の腹を足で蹴り上げるまで、間宮の舌は、僕の口のあらゆる場所を侵し続けた。歯の裏を、上顎を、頬の粘膜を、舌と舌とを絡ませて、吸って、そして離れる直前に下唇を引っ張るように噛んでいった。
僕に蹴られて、床に転がった間宮を眺めたとき、間宮はまたもや勃起していた。
でも、僕はしていなかった。
口の中にあったのは、互いの酒臭さと、残された唾液に、確かに、僕が知らない僕の味が混ざっていた。
忘れていた吐き気が急激に蘇ってきた。僕は、口を片手で塞ぐように押さえながら、トイレへ駆け込んだ。
そして、またもや全てを吐き出した。
洗面所で口をすすいで、ベッドルームに戻ったとき、もうそこに間宮はいなかった。
「……なんだよ」
間宮は、さすがに、目を泳がせて少しは動揺しているように見えた。そして、僕は、好奇心を抑えきれない、悪い癖がまた出てしまった。
「……それって、その……どんな味すんの?」
「……は?」
「……まさか、美味しいの?」
「んなの、マズいに決まってんだろ!!」
間宮は、八重歯を剥き出して叫んだ。あ、これは本気で怒ってるパターンだ。
でも、頭を抱えたくなっているのは、こっちだって、おんなじだった。間宮がやることなすこと、何一つ理解できない状態だった。こういう酒癖の悪さっていうのも、あるものなのか……?
「……だからだよ」
俯きがちに、間宮は、ボソボソと何やら呟いた。
「……え?」
「お前んだからだよ! お前のだから飲んだんだよ! 分かるか!? 超マズいのにな! なんでだろうな!? お前には分かんねえだろうな! オレが……どんな思いで、ずっと……」
突然早口で、ツバを飛ばしながら、そう捲し立てるので、僕は思わず手を顔の前に広げていた。
それに気がつくと、間宮は、急に空気の抜けた風船のように黙り込んだ。
「……ほんとに、こんなのの何がいいんだよ……」
間宮は思い詰めたように、どこか一点を凝視したままボソリと呟いた。不安になって、慌てて僕が口を開く。
「……あのさ、小学校って確か別だったよな?」
「は? なに、急に」
「いや僕、小学んときに、大ちゃんって呼ばれてたからさ」
「……はっ。それで俺が同小だとでも思ったって?」
「いや、純粋に疑問で、」
「お前と俺が同じ小学なわけねえだろ! 住んでる駅だって違ってたのに……」
そのとき間宮が、急に目をうるませたように見えたので、僕は慌てた。
「……間」
「山田なんて名字のヤツなんてな、五万といんだよ」
「……え?」
「高1んときだって、隣のクラスに山田2人いたし……、お前、高2のとき、女子の山田もいたから、先生らに下の名前で呼ばれてたろ」
驚いた。そんなの、自分でも忘れていたことだ。
「……よく知ってるな」
「……ハハッ」
泣きそうな顔をしているのに間宮は何故か笑った。
「お前のことなら、なんだって知ってる」
「……」
「お前が知らないお前のことだって知ってる」
「……え?」
僕が興味を抱いたことに、気がついたのか、間宮は久しぶりに目を合わせてきた。
「知りたいか?」
「……」
「じゃー、口開けてみて」
言いながら間宮が口を開けたので、つられて僕も口を開けた。
すると、間宮が僕に抱きついてきたかと思うと、僕の口の中に、赤い舌を押し込んできた。
「!!??」
そのまま僕たちは、2人でベッドに転がった。間宮は、僕が両手で肩を必死に押すも体重を掛けることで、いとも簡単に対抗してみせた。
咄嗟の機転で、僕が、間宮の腹を足で蹴り上げるまで、間宮の舌は、僕の口のあらゆる場所を侵し続けた。歯の裏を、上顎を、頬の粘膜を、舌と舌とを絡ませて、吸って、そして離れる直前に下唇を引っ張るように噛んでいった。
僕に蹴られて、床に転がった間宮を眺めたとき、間宮はまたもや勃起していた。
でも、僕はしていなかった。
口の中にあったのは、互いの酒臭さと、残された唾液に、確かに、僕が知らない僕の味が混ざっていた。
忘れていた吐き気が急激に蘇ってきた。僕は、口を片手で塞ぐように押さえながら、トイレへ駆け込んだ。
そして、またもや全てを吐き出した。
洗面所で口をすすいで、ベッドルームに戻ったとき、もうそこに間宮はいなかった。
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