解放されたと思いきや美麗な義兄に番にされた件について

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「さっきのやつ?随分と仲がいいんだな?こんな寮に勝手に入って…お前はオメガだと自覚はあるのか!?とにかく、アルファがいないにしても寮はダメだ!義父さんも何考えてるんだ!」

義兄は怒りまくっているが、ふわりと甘い匂いがする

同棲しているオメガの匂いだろう。義兄の優しい匂いに混じって上品な匂いだ

思えば、義兄もご苦労なことだと思う

同棲しているオメガにだけ気を配ればいいのに、うっかり家族になってしまったばっかりに軽蔑しているオメガの義弟にまで気を配って

「とにかく家が嫌なら、うちに来い。ほら、行くぞ?荷物は後で運ばせるから」

義兄に腕をとられて、引きずるように義兄のマンションまで連れて行かれる

初めて訪れた義兄のマンションは広くて、まるでモデルルームのように整えられていた

ふんわりとオメガの甘い匂いが漂う

所在なくソファに座っていると、義兄がコーヒーをいれたマグカップを両手に戻ってきた

ことりとローテーブルに置かれたマグカップの中身をちびちびと飲む

あまり物が置かれていない殺風景な部屋をぐるりと見渡す

「鉄、今日から此処から高校に通うように。いいね?」

もう決まったことかのように言い切る義兄に視線を落とし唇を尖らせる

子供っぽいが不満があると昔からの癖はやめられない

「……鉄」

「いや、水帆にぃちゃんには同棲中のオメガの人がいるだろ?やっぱりダメだよ…俺もオメガなんだし…」

怖くて義兄が見れず、もじもじとマグカップの中身を眺めながら急いで言うと、義兄はそっと体温が感じる近くにきて座り顔を覗き込んでくる

「……鉄、気になるか?」

手を握られながら言われて、恥ずかしくなり俯く

あの日みたいに、義兄は掠れた声で囁いてくる

そう、あの日

今みたいに少し寒くて、まだバース性というものを理解していなかった、あの日ーー
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