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部屋は足の踏み場もなかったが、義兄は何も言わなかった

万年布団の上に2人で座る

義兄は体が大きいのでなんだか妙な感じだ

「どうしたの?水帆にぃちゃん?何かあった?」

「鉄、お前いつの間に人見知りが直ったんだ?」

人見知りは直っていないのだが、義母がいなけりゃ俺はこんなもんだ

しかしそれは義兄には言えない

「んー、まあ直ってないけど」

「何で帰って来ない?」

いきなり低い声で言われて、びくりと身体を震わせる。目を合わせないまま、もじもじと冷や汗をかく俺を綺麗な瞳でじっと見据えている

「………あ、あの、……その……め、面倒で」

「義父さんも、母さんも寂しがっているから、たまには帰りなさい」

寂しくなんてないだろう。子供じみた反論を飲み込みながら俯く

「あ、あ…うん。また、帰るよ。ごめんね、水帆にぃちゃん」

もじもじと指を回しながら言うと、疑いの目で見られているのがわかる

「そうか、じゃあ一緒に帰ろう」

立ち上がる義兄に慌てる。俺はもう、家には帰りたくないのだ

「あ、今から?はダメ。安西、さっきのやつと遊ぶ約束が…あるから…」
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