解放されたと思いきや美麗な義兄に番にされた件について

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義兄が、あの美しい人、義兄とはまた違った繊細な線の細い美しいオメガとルームシェアするのはわかっていたことだ

「…………ふぅん？」

そのまま重たい黒い首輪がついた首筋に義兄の冷たい唇が触れる

あちこち筋肉質で硬い義兄が、そこだけは柔らかくて妙な気持ちになる

「……あ、そ」

義兄は、長い脚を反転させてトイレから出て行く

身体中の力が抜ける。安心の為かどっと汗が出た

義兄はたまに確かめるように、あのような触れ合いをしてくる

それはごくごく自然で、いつも反応に困るようなものばかりだった

自然に見えるように席に戻ると、父も義母も、もう笑顔になっていた

「そうね、水帆の言う通りね！一度一人暮らししてみて家事も出来ない男は貰い手がないわよね。最近のオメガはしっかりしているし」

「まあ、一時的なものなら構わないが、必ず戻ってきなさい。跡取りはお前なのだから」

いつも義兄は、この人達の意に反する事をしても最後にはこうなる

いないものとして扱われている俺は静かに家族のテーブルに座るだけだ

息が出来ない。重たい重たい家族の役割を演じるのだ

早く俺もこの家を出たい。出たら二度と戻らないんだ
義兄が家から出る準備を始めた頃、俺も入寮手続きをしていた

俺一人では、この家族はますます機能しなくなる

幸いなことに寮費は食事付きで一万円、バイトをすればなんとかなる

一応、父親には伝えたが、どこにでも勝手に行けと言われて必要書類にサインだけしてもらった

やっとだ。やっと自由になる

寮に入ったら、二度ともう戻らない