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初めてのヒートからは、穏やかな日々だったかのように思う
ヒートから開けて陽が登校する時には一条も付き添うようになり、首輪を外して欲しがるものの一条も強引な事はしてこなかった
ただ、たまに陽の首輪を撫で、早く信用してほしいと呟く
その度に胸が疼き、首輪を外して一条に全て捧げてしまいたかった
首輪を撫でる一条は、子犬みたいで拗ねていて本当に可愛い
番いになったら、どうなるんだろうか?
それはとっても幸せで甘美なものに違いない
暖かな気持ちで一条と過ごす時間は、陽にとってもかけがえのないものとなり、本当の恋人のように一条も陽の側から離れなかった
そう、学年が上がり、後輩に弟である正井賛が入学してくるまではーーー
「陽兄!陽兄てば!」
薄い日差しが入り込む教室で、病弱だった弟の賛が入り込んで来た時
嫌な予感が陽の胸の中で確かに広がった
輝かんばかりの美しい弟は、はにかみながら陽の忘れ物を届けてくれた
ただそれだけだ
なのになんでこんなに嫌な気持ちが胸に広がるんだろうか
受け取った教科書に爪が食い込むほど力が入る
陽は後ろを振り向けなかった
なぜなら、賛が後ろにいた一条を見つけ嬉しそうな顔で、駆け寄っていったからだ
「一条先輩、こないだはありがとうございました!感動しちゃいました!あんなの本当に貰っていいんですか?」
嬉しそうな賛の声に、一条が優しく、本当に優しく答える
ゆっくりと振り向き、陽は見てしまった
優しく賛の髪を撫で、今までになく嬉しそうな一条の顔に
庇護すべきオメガと出会った表情に、胸が引き裂かれそうだった
「あっ…、俺、ちょっと先に行くね」
惨めにも絞り出した陽の声は届いただろうか?
心臓がばくばくする
足早に非常階段まで走る
誰もいない、息ができない
一条は追って来なかった。陽の様子はおかしかったはずだ。なのにその事実に、その場で膝から崩れ落ちた
誰だって、高位オメガである賛が良いに決まってる。自分はそもそも賛の身代わりだったのだ
ああ、それなのに気を許して何度もセックスしてしまった
自分は馬鹿みたいに一条を好きになってしまっている
胸が苦しい
涙がぼたぼたとこぼれ落ちる
いじめられていた時すら、こんなに辛くなんてなかった
膝を抱えて、鼻を啜る
そうして何時間経っただろうか?お尻が冷たくなってきた
一条は自分を探してすらないだろう
このまま凍死したいーー
ヒートから開けて陽が登校する時には一条も付き添うようになり、首輪を外して欲しがるものの一条も強引な事はしてこなかった
ただ、たまに陽の首輪を撫で、早く信用してほしいと呟く
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暖かな気持ちで一条と過ごす時間は、陽にとってもかけがえのないものとなり、本当の恋人のように一条も陽の側から離れなかった
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陽は後ろを振り向けなかった
なぜなら、賛が後ろにいた一条を見つけ嬉しそうな顔で、駆け寄っていったからだ
「一条先輩、こないだはありがとうございました!感動しちゃいました!あんなの本当に貰っていいんですか?」
嬉しそうな賛の声に、一条が優しく、本当に優しく答える
ゆっくりと振り向き、陽は見てしまった
優しく賛の髪を撫で、今までになく嬉しそうな一条の顔に
庇護すべきオメガと出会った表情に、胸が引き裂かれそうだった
「あっ…、俺、ちょっと先に行くね」
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心臓がばくばくする
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誰もいない、息ができない
一条は追って来なかった。陽の様子はおかしかったはずだ。なのにその事実に、その場で膝から崩れ落ちた
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ああ、それなのに気を許して何度もセックスしてしまった
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