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しおりを挟むこんなんじゃ駄目だ。またああいう事をするのは嫌だけど、アタリを体で繋ぎ止めるような真似はよくなかった
「………夜須?」
「嘘、しない」
アタリの顔を見ないようにぱっと体を離して立ち上がる。胸がジクジクと痛む。部屋に帰ろう
「どこに行くの?ここで一緒に寝よう」
「…学校って明日から行っていいの?島の人達、怖いんだけど」
「夜須が行きたいなら、いいよ。島の人達には夜須に近づかないように言っておく。ねえ、夜須、僕と一緒に寝るんだよ」
珍しく苛立ったアタリに腕を引っ張られて一緒にベッドで横になる
掴まれた腕の力が痛いくらいだ
「アタリ、ねえ、痛いよ…。一緒に寝るから…」
体を繋いだのに、心の距離が前よりも離れてしまっているように感じる。それがとても悲しくてアタリはずっと苛々したように手荒く抱きしめてきた
大人しくされるがままになり、うとうとと眠気が訪れる
寝入り端、黒い影が金色の眼が光り、ずっと見下ろしているのを気がつかないふりをした。
。
。
。
次の日から学校に行っても、皆一様に異形の者を見るかのように俺を見ていて、存在ごと無視された
まるで喋ってはいけないと緘口令が敷かれているように先生ですら、いないものとして扱った
勉強をしながらアタリを見ると、ずっと俺を見ていたのか小さく手を振ってくる
あんなことをされたのに、本当に好きだった分、憎めず小さく手をふり返すと本当に嬉しそうに笑った
だからアタリくらいしか俺と喋ってくれる人がいない
「夜須、帰ろう?」
授業が終わってからアタリが迎えにきたので教科書を鞄にしまい、慌てて立ち上がると、呉崎が気まずそうに近付いてきた
気強め系の美人の呉崎は、あの時にオムライスを奢ってもらって以来だ
「アタリくん、あんまり夜須に構わない方がいいよ」
呉崎の言葉に、そういえば呉崎は俺がアタリと恋人だと勘違いしていたと知っていたな。でもわざわざそんなこと言わなくてもと思い俯くと、アタリがぐいっと腰を抱いてきた
まるで恋人みたいな振る舞いに、ちょっときゅんとしたが、まあ多分そんなわけはない
「なに?なんか関係あるの?」
冷たく返すアタリに体がビクッと反応する。こんなに怖い感じは見たことあるけれど、基本的にアタリは人当たりはいいのに
呉崎も一瞬、怯んだが躊躇いながら口にする
「いや、期待させるだけ残酷だよ。」
ヘラヘラと言ってくる呉崎に、むっとはしたが確かにそう。期待させるだけさせて、これってどんな関係なのか、はっきりしてほしい
いや、今の関係すら壊れるのが怖くて言えないけど
「何のこと?わけわかんない。夜須、行こ」
アタリの後ろを小走りで着いていくと、呉崎にめちゃくちゃ怖い顔で睨まれた
そういえば呉崎はアタリの事を好きだったなと思い当たる
呉崎からしたら好きな男の横に、さらにその男を好きな男がいたら嫌だというところだろうか
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