完結⭐︎キツネの嫁入り

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三宜が目を覚ました時、清順はもういなくなっていた。そして清潔な匂いと、首に包帯を巻かれていた

巻かれた包帯の上から首をそっと撫でる

あれから何日経ったのだろうか

身体の全身が軋むように痛い

幸せな時間は終わり、自分はどうなってしまうのだろうか

「皇后さま、後宮のお部屋が用意できましたので、体調が回復次第そちらに参りましょう」

皇帝付きの侍女たちが、甲斐甲斐しく三宜の包帯を巻き直し、傷口に薬を塗り込みながら優しく語りかけてくる

三宜は流石に訝しみながら、侍女達は正気なのかと疑った


三宜は皇帝を裏切り、清順と番契約までしてしまったのだ

本当ならば手当すらされず、今頃断頭台に上がっていてもおかしくない

「……清順様は?」

声も掠れていて、絞り出すかのようだ

「清順さまは朝廷に出席されてますよ。ささ、早く体調をなおして後宮に移りましょう」

にこやかな侍女に、三宜はぽかんと口を開けたまま惚ける

呆然としたまま、清潔なシーツを握る

自分は許されたのだろうか?流石に番契約してしまったので、清順に輿入れすることが決定して?

喜びに口元が緩む

「三宜様、皇后としての責務は体調が回復されてからで構わないそうです。あとで陛下が労いにきてくださいますからね」


侍女の言葉に三宜は疑問で顔が曇っていくのを止められない

陛下とは誰のことなのだろうか

「あの…清順は清順様はいつ会えるだろうか」

「?清順様ばかり気にされるのは変ですよ?さあさ、早く寝て、早く治って後宮に移れば皇帝陛下じきじきに可愛がってくださいますよ」

噛み合わない侍女の会話に、三宜は首を捻りながら言われるまま目を閉じる

清順と、どうなってるんだ?

死ぬほど清順に会いたい

「ねえ、清順様を呼んで…会いたい…」

三宜の言葉に侍女は本気で困った表情を見せる

三宜は自分がとんでもない勘違いをしているのかとすら思ってしまう

「清順様にお会いにはなれません。皇后様、間違ってももう口にしてはいけませんよ」

優しい侍女の声が遠くなっていく

もう清順に会えないの?

会えませんよ

悲しい

鼻腔に華やかな清順の香りが蘇ってくる。これは三宜が辛いあまり見ていた夢だったのかすら思えてしまう

「三宜、三宜…」

清順の声が聴こえる

次の瞬間、起き上がると、幸せそうに頬を染めた清順が三宜の髪を撫でていた
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