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しおりを挟む花を撒き、花嫁を乗せた輿が宮廷へやってくる
新しい皇后を迎える為の盛大な行事は国を挙げて行われ、宴会は終わることがない
三宜に会えるのは何年ぶりだろうか
白い着物に身を包み、蟹と鶴が装飾された織物は有名な後宮御用達の職人にもので、蕭家の気合いの入れように忌々しさを感じる
恐らく清順に輿入れはさせたかったのだろうが、蕭家の三宜の父親は清順を恐れている
皇帝に輿入れをさせれば、降嫁させるより清順が手を出しにくく安全だと踏んだのだろう
皇帝は何だかだと皇太后の傀儡だけあって本来穏やかで人柄も良かったのだ
今は猿の干物のように腐っていき腐敗臭までするのだが蕭家に宮廷に上がるのを嫌がらせで許可していないので、あの父親はいま皇帝がどうなっているのか知らないのだ
それよりも久しぶりに見た三宜に胸が震えた
やわらかな茶髪は変わらず艶があり、愛くるしいまま育った丸い頬は白い
そしてあの爛々としていた宝石のような紅い眼は変わらず清順の胸を締め付ける
襲いかかってしまいそうな自分を律しながら、見守っていたが、横に太々しい月家の嬰林を見咎めて目を細める
こいつが、嬰林かーーー
三宜と目だけで会話するように頷き合っているのを見て、腑が煮え繰り返るように熱くなる
これは、僕のものなのに
。
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