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しおりを挟むあの後、永恩とは続きがあった
掌の中の月の雫が入った瓶をいじくる
一滴を三宜に飲ませた後、残りを永恩に謝礼の宝玉や衣装を褒美に与えた後、瓶ごと返そうとしたら永恩は首を振って見せたのだ
「私は清順様のお役に立ちたいのです。月家の秘薬はあと50年は新しく作れません。その…政敵を倒す武器にもなります…これはアルファ性に飲ませれば強い毒となります…。自我を失い、やがて痩せ細り内部から腐っていき暗示者の人の言いなりになる恐ろしい薬です。どうかお使いなさいませ」
気まずそうに言い募る永恩は、月家の父親に僕にそう言うよう言い含められたのだろう
つまり、蕭家、三宜の父親に使えと暗に言ってきているのだ
「ありがとう、永恩はいつも僕を助けてくれる」
手を握りながら言うと、永恩は照れたようにはにかみながら俯く
永恩が去った後、配下達が駆け寄り両手を丁寧に拭きながら傅く
名前も覚えていない配下達は何故か心酔し、たまに宗教のように僕を崇めていて何でも言うことをきく
「全部飲ませて差し上げよう。父上に…永恩の代わりが務まる者はいるかな?」
微笑み独り言を言う僕の手から配下が瓶を受け取り、何処かに消えていった
。
。
。
日に日に衰弱していく皇帝に、皇太后は僕を畏れの目で見るように変わっていく
「皇太后様はどうなさいますか?」
玉座の横から傅く老婆を睥睨すれば、肩が震え泣いていた
皇帝が長くないことを知っているのだろう
また僕の手中におちたことも悟ったようだ
「三宜を、娶ることを許します」
皇太后から言質もとったが、皇帝が完全に言いなりになるときには、もう皇后を選ぶ選定の儀を開催することを五家に通達してしまっていた
蕭家は僕を完全に警戒しているから、僕が娶ると言えばどうしてでも三宜を出してこないだろう
都合は良いのかもしれないと考える
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