完結⭐︎キツネの嫁入り

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久しぶりに会う皇帝は父親ではあるが、威厳に満ち、自信に溢れた精悍なアルファ男性だった

もう年も60代後半かというのに、肌には艶があり日焼けして筋肉質であり、まだ夜の方もお盛んだという


僕は見目の麗しさが兄弟の中でも抜きん出ており、特に皇帝のお気に入りだった

横に並ばせていると気分が良いんだそうだ

そんな皇帝が珍しく疲れ切った顔をしていて、頭痛がするのかこめかみを揉みながら、玉座から僕を睥睨していた

「清順、あれは諦めろ」

短い言葉に許可も得ずに顔を上げて黙って皇帝を見つめ返す

わずかに目の奥に恐れが宿るのを見届けながら、何故と口の中で呟く

僕のものだ

あれは生まれてから、ずっと僕のものだ

「母上が、怒っておられる。血が濃い…それに、蕭家の父親の方が母上は気に入っていない。そのかわり、三宜には誰も近づかないようにしてやるから、大人しく永恩と夫婦となり子を成せ」

話は終わったとばかりに、機嫌を伺う皇帝を黙って見つめ返していると、皇帝の顔はみるみる赤く染まっていく

「あれは駄目だ!聞き分けなさい!清順!!」

皇帝の言葉に首を振ると、祖母である皇太后まで後ろから出てくる

傀儡に過ぎない父親に呆れながらも、皇太后に拝謁する


「うまく誑かされて、何のために月家の嫁を貰ったの?蕭家の勢力を削ぐ為でしょう?清順、頭を冷やしなさい。あれは駄目よ!」


「お前がそんなに気にするなら、蕭家の末っ子は儂が娶ることにする」

要は皇帝は飼い殺しのために、三宜を娶ると言っているのだ

清順は口の中で何度も声を噛み殺す

「いま、なんとおっしゃいましたか?父上」













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