完結⭐︎キツネの嫁入り

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時が経ち、僕の焦る気持ちは日に日に強くなってきていた

蕭家は完全に僕を警戒し、三宜に偶然を装って会おうとしようものなら、彼の兄達が飛び出してきて三宜と会わせないよう引き離すので、三宜とゆっくり関係を築く隙すら与えない


それにあろうことか僕の婚約者の姉である月家の嬰林、アルファ女性が三宜に学習院で近付きゆくゆくは輿入れさせようと画策していると知り、僕は狂うようになってきた

三宜は僕のものなのにーー

こうしている間にも三宜は、誰かに番にされてしまうかもしれない

どうしたらいいんだ

まだ三宜は発情期を迎える頃ではないが

三宜が誰かのものになってしまうなんて、本当に狂ってしまうーー


「清順様、何を考えているんですか?」

庭園を歩いていると、月家のオメガ、僕の婚約者である永恩が声を掛けてきた

永恩とは、皇太子になる条件としてもう番契約を済ませているが、三宜を知ってしまった僕は満たされない

三宜が欲しい

「いや、そういえば永恩は僕と番になる前は、オメガの発情期をどう過ごしてたんだ?」

ただ、三宜の、オメガの貞操を守るヒントが欲しかっただけに過ぎないが、永恩は何を思ったのか、嬉しそうに袂で口元を隠し笑っていた

「私の事をようやく気にしてくれますか?そうですね、月家にはオメガの秘薬があります。月の雫というのですが、そうですね、発情期自体を無くしてしまうのです」

永恩の言葉は暁光だった。そんな薬が本当に存在するのだろうか

「でも、今は発情期があるよな?」

恐る恐る口にする僕に永恩が微笑んで見せる

「月の雫は一度服用すれば効果は永遠です。ただ、番になる者の、その…あれを飲ませれば良いのです」

恥ずかしそうに言う永恩に、僕は目の前が明るくひらけていくのを感じた

「その…末の妹のために、その薬を分けてもらえないか?」

珍しくにっこり微笑んで語りかけると、永恩は嬉しそうに頷く

話しかけること自体あまりないし、自分が注目されているのが余程嬉しかったのだろう

永恩はすぐにその薬を手に入れて、渡してくれた

茶色の瓶に入れられた液体は鈍く光り、それを手に入れた時は歓喜に沸いた

三宜の食事に混ぜてくるよう、すぐに手配する

そんな僕の動向が皇太后に伝わったのだろう、皇帝からの呼び出しに僕は久しぶりに宮廷に戻ることを許されたのだった









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