完結⭐︎キツネの嫁入り

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耳元で囁かれた清順の言葉にぴしりとかたまる

確かに三宜は発情期を迎えたことがない。しかし、清順は運命の番なのだ

確かに良い匂いはするし、身悶えそうなくらい何かは感じるが、世に言われるようなオメガの発情期には至っていない感じがした

後ろから抱き込まれ、清順が何か考えこんでいるように感じる

清順の匂いは、確実に運命の番だといえる

嬰林や他のアルファとは全く性質が違うので断言できる

しかし、運命の番とは出会った瞬間にすぐに発情期に入ってしまうはずなのに三宜には何も起こっていない

惚けたり、頭の中はぽーっとなるような感覚はあるし、清順を前にしたら恥ずかしくて仕方ない感覚はあるのに発情期に入らないのだ

抑制剤は飲んでいないのに、運命の番の匂いを嗅いでも何も起こっていない

最初は抑制剤のせいかと思っていたが、後宮のオメガ達の話を聞けば、抑制剤すら効かないものらしい

もぞもぞと腹の辺りを撫でられ、身を縮こませると清順はますます密着してくる

「あの…それより、本当に陛下が来たら殺されてしまいます。清順様…」

「……本当にあれと初夜を迎えるつもりなの?」

心底驚いている清順に、仕方がないだろうがよとは言えない

そもそも、どうして清順がこんなに陛下の寝所に滞在できているのかも理解できない

「いや、その…輿入れしましたし、仕方ないじゃないんでしょうか…」

しどろもどろと言う三宜に、清順は心底理解できないという顔を見せる

「…三宜は本気で皇帝に輿入れするつもりなんだね」

暗い清順の声に、輿入れするつもりというか拒否権なんてないじゃないかと心の中だけで反論する

「…清順様が攫ってくれでもするんですか?」

どうせ無理だろう、そう思いながら願望を口にすると、清順の不気味な雰囲気は霧散していくようだった

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