完結⭐︎キツネの嫁入り

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「………清順!?」

がはっと白い布を跳ね飛ばして、目の前の人物を何度も眺める

いつもと違い軽装で、胸元をはだけているせいか色気が物凄い

黒い髪を靡かせて、にっこり笑う

極上のアルファだろう、引き締まった身体は筋肉質であるのに何故か見てはいけないもののような妖しさがある

三宜を見る目にも色気があるような気がして心臓が落ち着かない

「て、駄目です清順様、清順様でも殺されてしまいます!ここは陛下の寝所ですよ!?」

清順の背中を押し、慌てて追い出そうとすれば、清順に手を取られ、握り込まれる

「どうして?あんな気持ち悪い奴と本当に寝所を共にするつもり?三宜は僕のものなのに…」

押し倒されて、後ろに退がれば清順はにじりよってくる

「気持ち悪いって…いや、ちが、もう決まった事だから……」

確かに皇帝は気持ち悪いが

どう説明したら良いだろうか?ただ確実なのは、こんな所を誰かに見られでもしたら身の破滅ということだけだ

何度も手にキスをしながら、唇で喰み、滑った舌で味わうように舐められ、三宜は息を詰めた

「だめ、だめです…こんな事、み、見つかったら…」

「ん?三宜…こんな格好で陛下を待っていたの?」

白い布が暴かれると、三宜は心許ない薄衣しか身につけていない

ぴろりと清順の長い指先で布を引っ張られて顔も身体がカッと熱くなる

「お願いですから、清順様…やめてください…」

半泣きになりながら清順に縋ると、清順は少し考え込んだ顔をした

「なにそれ、もう僕はいらないってこと?」

先程までのふざけたような感じではなく、清順はゆらりと表情を失くす

黒い射干玉の瞳を揺らし、大きな手を伸ばしてくる

「あ…清順様、待っ…」

唇を乱暴に塞がれ、何度も角度を変え舌が入り込んでくる

三宜の手は清順に掴まれたまま、何度も唇を合わせた

息が上がる中、清順は三宜の首筋に鼻を埋めた

何度も首筋に触れる唇に、ぞわぞわと鳥肌が立つ

胸を押されて、後ろに跳ね飛ばされると清順が脚を割り開き、間に入り込んでくる

両腕を掴まれて、上から見下ろす清順は作り物のように整っていて、少し怖い

しかし、抗いがたい匂いが清順から漂い力が抜ける

鼻腔をくすぐる匂いは、三宜の身体を熱くさせ、息が上がっていく

「ねえ、三宜まだ発情期はこないの?」
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