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しおりを挟む芸妓たちの舞が終わり、音楽を奏でた後に日も傾いてきた頃、死んだように動かなかった皇帝に手を差し伸べられた
猿の手のような乾いた手に手を重ねる
予想以上に冷たく硬い手に、びくりと身を震わせる
冷たいというレベルではない気がする
緊張したまま皇帝に連れ出される前に、一度だけ清順を振り返った
泣きながら唇を噛み、清順を見上げると清順は感情が読めない妖しい空気のまま三宜を見ていた
流れる黒髪は艶やかで、白い面立ちは三宜が恋焦がれたままだ
このまま、番がいない状態で清順に会えるのも最後になるかもしれない
そのまま皇帝に促され、後宮に連れて行かれ侍女たちに引き渡されて、湯殿に連れて行かれ念入りに磨かれた
湯殿から上がると、薄衣に着替えさせられ、また涙が溢れた
必要ない宝石を飾り付けられ、白い布を被せられ手を引かれた先は寝室で体がガタガタと震えた
本当に?本当に今から、あの皇帝の番になるのだろうか?
まだ一度しか、清順としか唇しか
自分の体を抱きしめて、暗い中、皇帝を待つ
あまりの静寂に、心が折れそうだ
耐えれるだろうか?番になれば何ともないだろうか?あの干物みたいな顔と粘着物を見ても悲鳴をあげないだろうか
自殺行為かもしれないが、清順の飾り紐はこんな時にすら持ってきてしまった
もう匂いも消えてしまっているが、それを手首に巻く
泣きながらどれくらい待っただろうか
やがて扉が小さく開く音がした
身を縮こめて、掛けられている白い布を握る
かつかつと足音が聴こえて、やがて三宜の前で止まった
助けて、清順
布の上から柔らかく撫でられ、涙が余計に止まらない
怖い、怖い
布ごと抱きしめられたかと思うと、あっという間に担がれ寝室に連れ去られ、柔らかなベッドに投げ出されたようだった
怯え切った三宜は、白い布を鼻の前で握り、せめて見ないまま終わりたいと目を瞑った
「そんなに権力が欲しかった?何で選定の儀に出たの?」
冷たい、泣いているような強張った声に三宜の涙が止まる
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