完結⭐︎キツネの嫁入り

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その間も絡みつくような視線を清順の方向から感じながら、三宜も祝杯を飲み干す

その間も皇帝はぴくりとも、1ミリたりとも動かなかった


蝿が皇帝の体に止まり、顔を洗っているのに三宜は考えを巡らせねばならなかった

皮膚には蛆がわいているようでもある

これは、もしかして死んでいるのではないだろうか?


しかし、ここで皇帝が死んでいるのではないかとも言えず、もぞもぞと落ち着かない気分でいると、清順が杯を持って笑顔で近づいてくる

「この度はおめでとうございます。新しい皇后の門出を祝いお祝い申し上げます」

清順はどこまでも美しいし、残酷だ

口では祝いを口上しているが、射干玉の瞳を細めて三宜を笑いながら見つめてくる

まるで蛇に睨まれた蛙のようだ

ぞくりと背筋が寒くなる。清順は、自分を責めているんだろう

その眼は、なんでこの場に座っているんだ?どうしてこんな事になっているんだ?と三宜を責めている

刃物を首に突きつけられているような危うさを感じる

「………ありがとうございます」

袂にある清順の飾り紐が入った箱を撫でながら答える

俯いたまま三宜が黙っていると、横からカサリと音がする

「清順、祝いの席だ、一献飲みなさい」

ぎぎっと音がするかのように皇帝の細い骨のような腕が動き、しゃがれた声ではっきりとそう言った

ちっ、生きていたか

そう思わざるえないくらい、皇帝は凄まじく不気味だ。今夜これの番になるのだ

これくらいの悪態は許してほしい

ところで、どんな相手でも番になってしまえば愛おしく一緒にいるだけで幸せに感じるものらしい

もう一度、皇帝を見る

白い細い虫が顔にたかっている気がする

本当に?本当にどんな相手でも愛おしくなるのだろうか?

三宜の視線が皇帝に移ったのが気に入らないのか、清順が焦ったかのように三宜と皇帝の杯に酒を注ぎ、自分の杯を掲げて飲み干す

清順のその白い喉が動くのを見ながら、泣きそうになる

本当ならば、清順の横で、清順と杯を交わし

それなのにーーー!



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