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しおりを挟む松末の離宮には見知らぬ侍女たちがすでに忙しそうに走り回っており、三宜が松末に連れて来られると謎の液体を振りかけられ湯殿に放り込まれた
着替えさせられた衣装で、清順の匂いが消えてしまう事に酷く狼狽をしたが、腕にある飾り紐を撫でて心を落ち着ける
この心理の変化はどういうことだろうか
松末の離宮でお茶を飲みながら、すっかり落ち着いた三宜は、清順と会ってから自分がおかしくなっていたのではないかと思い返す
それほどまでに運命の番とは強力なものなのだろう
「今日の晩餐は俺の衣装を着ていけ。皇帝も来られるから…三宜、あのまま皇帝が万が一でも離宮に会いにきてたら、お前死んでたんだぞ?それに相手も無事じゃ済まない。嬰林のこと、忘れたわけじゃないよな?」
松末の言葉に頷く。そうだ、清順にも咎はあるだろう。そんな事起こってはいけない
「ごめん、松末…どうかしてた。今日の晩餐はちゃんと出る…」
松末に手首をとられる
「これ、これも取れ。これが特に駄目だ」
あまりの松末の気迫に思わず腕に巻かれた飾り紐を取る
「預かっておく」
「あ、大事なものだから、後で返して…」
呆れた顔の松末に気まずくもじもじしていると、軽い蹴りを入れられた
「命がかかってんのに呑気だよ、三宜は…」
辛そうな松末に黙って俯いていると、飾り紐を箱に入れて投げて渡された
「人前ではもう付けるな。渡した相手は三宜に死んで欲しいのか?全く…」
松末の言葉にびくりと体を強張らせる
清順が三宜の立場がわからないなんてあり得ない
それなのに、飾り紐を気持ちが変わらない限り身につけるように言い含められた
抑制剤のせいでよくわからなくなる。本当に清順は運命の番なのだろうか
ふと思い当たり頭を振る
清順を好きなのは三宜の方なのだ
清順がどのようなつもりで三宜に近付いてきてるのかなんて三宜にもわかるはずがない
ただ、迎えにきてくれると清順は約束してくれている
三宜はそれを待っているだけで良いのだ
「ごめん松末、心配かけて…」
三宜の言葉に松末が鼻を鳴らす
松末はどうやら飾り紐の存在が気に入らないらしい
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