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しおりを挟むきっと大丈夫。親は皇族に輿入れするのは気が進まないようだったが、蕭家で嫁入り出来るのは三宜だけだし、先読みできない皇帝に輿入れするよりは清順の方が喜ばれるだろう
選定の儀はあとは皇太后への接見と選定で決まる
胡桃と三宜はおそらく先の選定の儀で醜態を晒してしまった
選考から落ちたはずだ
松末はやり切ったらしいが、やはり自分のお抱えの侍女達だったのだ
狼狽していたようにも思うので、今一番有力なのは五十鈴家の葵だろう
顔色変えずに見せた剣技は見事だった
皇后の器が動揺しないことならば、葵はあの時、皇后になる事が決まったも同然だ
だから、選定の儀さえ終わればなんとかなるのだ
なので耐え忍ばねば
その後、三宜の予想通り家臣達が葵の離宮をひっきりなしに訪れ、妃嬪たちも会いにきていると噂が流れた
三宜も候補者なので晩餐に何度か呼ばれたが、参加すらしていない
体調が悪く伏せっている事にし、
清順から貰った腕に巻かれた髪の飾り紐を眺める毎日だ
「おい、たまには晩餐に出ないと不敬で家に抗議されるぞ」
だれも通すなと言っていたのに、侍女達だけでは眞津家の松末だけは止められなかったのだろう
ずかずかと部屋に来た松末は三宜を認めると、顔を顰めた
「おい、まずいよ。何で室内がこんなに…三宜、わかってるのか?違うアルファの匂いはまずいよ…三宜、正気か?選定の儀の最中なんだぞ?」
肩を揺する松末に気まずく俯く
三宜ですら気付いている。室内は清順の匂いで溢れ、きっと三宜にも染み付いている
「…わかってる」
「わかってたらこんな事しないだろ!俺の離宮に来い。今すぐ…あー、衣装全部やられてんのか?なんだよこれ…」
松末に腕を引かれたが、三宜は踏ん張った
この部屋から出たくない
出たら怖い事が起こる気がする
「駄目だ。三宜、死にたくないなら俺の離宮で着替えて、晩餐に出るんだ。何考えてるんだ?皇帝の配下が一度でも此処にきたら、死ぬのはお前だけじゃないだぞ?」
言い募る松末に顔を上げる。そうだ、平和に乗り切らないといけないのに、このままでは駄目だ
清順の匂いに包まれて、毎日幸せだ
でもそれでは駄目なのだ
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