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しおりを挟む一体これはどういうことだろうか?悪趣味にも程がある
胡桃は唖然としたまま侍女たちに再び薙刀を持たされ、もう一度斬りつけるように言われている
首を振りながら泣く胡桃に、興が醒めたのか皇帝が下がるよう命令する
信じられなかった
もしかしたら、今まで一連の出来事を月家への口止めの意味もあるのかもしれない
胡桃が幕に戻され、嫌そうな顔をした葵が出た剣技の人形の中身は月家の嬰林付の侍女たちだった
葵は淡々と人形を斬り、刀を納めて幕に戻る
囃し立てる声や笑いに吐き気が込み上げてきた
口元を歪めた葵はにがり切った顔をしていた
次は三宜の番である
弓を持つ手が震える
皇后になるには、これくらい軽くこなせる人物でないといけないということだろうか
月家の侍女たちには、顔見知りもいる
三宜から離れた場所に用意された人形は、同じ大きさのものだった
目を瞑り、弓を引く
引いた弦の指が小刻みに震える
外したら、どうなるのだろうか?いや、はずそう。せめて命が助かるように
震える手で人形の足元を狙う
「わざと外したら、自分の所の侍女を差し出すのはいかがでしょう」
三宜が弓の軌道を下に向けたからだろうか?誰か明るい女の声がした
三宜は唇を引き結び、弓の軌道を上げた
弦を引くと、人形の真ん中に突き刺さり悲鳴が上がる
ぐっと唇を噛んで、俯くと、呻き声はよく知っている声だということに気づく
「………日出?なんで?なんでそこに…」
力無く呟く三宜を、松末が肩を抱き、幕に連れ戻す
先程三宜が聞いた声は確かに小さい頃から一緒にいた三宜の侍女である日出のものだった
どうして日出がそこに
「誰が入っていても不思議ではない。嬰林の事での口外するなという警告だろう。三宜、泣くな。早く終わらせよう」
松末の声がする。それから何が起こったのか三宜もよく覚えていない
皇帝から褒美を取らされ、四家の挨拶をし侍女達に手を引かれるまま気づいたら離宮に戻っていた
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