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「もー、大橋が引っ張るから伸びたじゃん!あ、ところでさあ、大橋はネムの草って何処にあるか知ってる?この王宮の庭園にあ……」

ネロが言い切らない内に大橋がいた場所が光り、音もなく地面が切り裂かれる

驚いた顔をした大橋に抱き寄せられ、大橋が結界とつぶやくと周りに薄い膜のようなものができた

不思議な光景に目を見張る

「ひっ!なに!?何事?!」

何度も結界を切り付けるように、光の刃が膜の直前まで走り消えていく

やがて光らなくなると軍服を着た美丈夫、ミネルバが遠くから歩いてくる

ミネルバは遠くからでもわかるくらい空気に怒気を孕み近づいてくる

「え?あ?なんだ、そういうこと?俺逃げるけど、頑張れよ、芦屋。貴族とか王族を信じすぎるなよ。またな、俺に会いたくなったら通信を取得して呼んでくれたら会いにくるから。あと、ほれ、これだろ?ネムの草やるわ」

大橋は呑気そうにネロの手に大量の草を握らせると下手くそなウィンクをして、解除と呟いた後に、移転とつぶやきネロを突き飛ばすと右手を上げた

花びらを舞い散らし大橋が消えていく

「ちょっ…ばっ!いてぇだろうが!!」

突き飛ばされて尻餅をついてしまい文句を言うネロに微妙に笑いながら大橋は消えた

ミネルバが慌ててネロに駆け寄ってくる

ミネルバはネロを抱き起こすと、大橋が消えた先を睨んでいた

「ありがとう、ミネルバ………何怒ってんの?」

ミネルバの手を取りながら、お礼を言うとミネルバは、じっとりとネロを睨むと別に…と小さく答えた後、しゃべってくれなくなった

その後、部屋に戻るとプーアールはネロを突き飛ばしてミネルバの腕を取った

本当にいい性格をしている

2人がずっとイチャイチャしているので、もやもやもしたが、大橋が生き返らせた死人のような顔色なのに美しい顔に微笑みを浮かべたまま微動だにしないニーナ様も気になった

ニーナ様の瞳はガラスのようで、少し白濁しており不気味で仕方がない

クローディア様はそんなニーナ様の手を縋るようにずっと握ったままだ

「あの、バロイは元気でしょうか?」

黙って消えた事に気が咎めて、バロイの話題を出すと、クローディア様は可愛らしく微笑む

「ええ、お元気ですわ。私のお人形のように…美しいまま、お会いになります?」

何故か微笑んでいるのに、クローディア様に寒気がした

お人形のように?あの煩いバロイが?

嫌な予感と不気味さに、体がぞわぞわする

「いえ、元気ならいいんです。今日は疲れたので帰ります。バロイによろしくお伝えください。勝手にいなくなって悪かったと」

なんとなく、このまま此処にいてはいけないような気がした

ミネルバが手を取ってくれて歩き出す

なんだろう?この不気味な気持ちの悪さは

「大丈夫か?ネロ、久しぶりの外出だったからな。皇后陛下、殿下、プーアール嬢、それではまた」

ミネルバが頭を下げるのに習ってネロも頭を下げると、ミネルバがすぐに転移をしだしたので、腕に縋り付く

この絡みついてくるような不気味さと怖気は何なのだろうか

花びらを舞い散らして、着いた先はミネルバの部屋だった

部屋に着くなり、ミネルバに腕に指が食い込むかと思うくらい強い力でしがみつかれた
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