完結⭐︎龍人様の番

66

文字の大きさ
上 下
60 / 68

間話

しおりを挟む

亜貴をずっと見ていた

画素数が高い映りの良い監視カメラはしなやかな亜貴の脚や腕の筋肉まではっきりと映し、画面を指で撫でる

たくさんのカメラに映し出されている亜貴は退屈そうで、可哀想だったが番になれない以上仕方がない

万が一、違う人と番になられたら亜貴ごと嬲り殺してしまう自信しかない

数日前にカンパーニュからされた忠告を思い出す

「一度、番を解除したアルファが、そう何度も何度も項に噛み付くと、そのうち死にますよ」

発情期が終わり、満足した後に亜貴が体調を崩したのでカンパーニュに診てもらうとこう言われたのだ

しかし、亜貴が着けている首輪は私が用意したもので安易に私なら外せてしまう上にこればかりは他人には任せられない

「何とか対策を考えるので、しばらく自重してください。再び番になれる薬は出来上がってるので臨床をお待ちください。本当に大事に思ってるのでしたらね」

カンパーニュの言葉にぐっと言葉を飲み込む。朝になく夜になく気が向けば亜貴のところに行き、気が済むまで抱いていた

あっさりと組み敷かれる体や気の強い眼差しに、潤んだ瞳、肩まで赤くなっていく顔や、吸うと色づく唇

どこまでも高ぶらせる生意気な顔つきが苦悶に歪むまで責めるのをやめられない

画面の亜貴を撫でながら見つめる。誰よりも大事だ。何よりも大切だ

穴熊達が檻をすり抜けて、亜貴に懐いて擦り寄るのを手を握りながら隠す

穴熊達まで取り上げたら、本当に亜貴がいなくなってしまいそうで

「ん?この耳欠けと鼻が黒い穴熊は亜貴の居住に入れるな。恐らくアルファだ。亜貴への触り方がいやらしい。他はベータかオメガだな。この2匹は入れないように」

てきぱきと指示を出すと、亜貴に気付かれないように侍女達が2匹を抱えて外に出して通さないようにする

「あの…ユティエル家のリース様に穴熊達は接触しています。あの2匹はリース様にも接触をやめさせますか?」

侍従の1人が傅きながら聞いて来るのを、今すぐ亜貴に匂いの上書きをしに行きたいのをこらえる

「……それは構わない。止めなくていい」

私の言葉に首を傾げながら侍従が下がる

番の儀式を終えたとはいえ、首が真っさらなリースと何故アルファを接触させるのか理解できないのだろう

他のアルファ性に触れられたら番の儀式を終えたオメガ性は多大な苦痛を味わう

私も運命の番を失い多大な苦痛を味わっている

番の儀式を終えたオメガが他のアルファに噛まれたら、どんな事になるのか

くっと笑いながら、亜貴がトイレだけは隠すためにカメラの前にトイレットペーパーを置いていくのに舌打ちしながら見守る

画面を抱きしめながら、亜貴に早く会いたいと願う

カンパーニュが、早く亜貴に薬を飲ませるのを今か今かと待っていた










しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

大嫌いだったアイツの子なんか絶対に身籠りません!

みづき
BL
国王の妾の子として、宮廷の片隅で母親とひっそりと暮らしていたユズハ。宮廷ではオメガの子だからと『下層の子』と蔑まれ、次期国王の子であるアサギからはしょっちゅういたずらをされていて、ユズハは大嫌いだった。 そんなある日、国王交代のタイミングで宮廷を追い出されたユズハ。娼館のスタッフとして働いていたが、十八歳になり、男娼となる。 初めての夜、客として現れたのは、幼い頃大嫌いだったアサギ、しかも「俺の子を孕め」なんて言ってきて――絶対に嫌! と思うユズハだが…… 架空の近未来世界を舞台にした、再会から始まるオメガバースです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

今日も武器屋は閑古鳥

桜羽根ねね
BL
凡庸な町人、アルジュは武器屋の店主である。 代わり映えのない毎日を送っていた、そんなある日、艶やかな紅い髪に金色の瞳を持つ貴族が現れて──。 謎の美形貴族×平凡町人がメインで、脇カプも多数あります。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

お弁当屋さんの僕と強面のあなた

寺蔵
BL
社会人×18歳。 「汚い子」そう言われ続け、育ってきた水無瀬葉月。 高校を卒業してようやく両親から離れ、 お弁当屋さんで仕事をしながら生活を始める。 そのお店に毎朝お弁当を買いに来る強面の男、陸王遼平と徐々に仲良くなって――。 プリンも食べたこと無い、ドリンクバーにも行った事のない葉月が遼平にひたすら甘やかされる話です(*´∀`*) 地味な子が綺麗にしてもらったり幸せになったりします。

処理中です...