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廃棄オメガの発情期と何者カンパーニュ 弱※自
しおりを挟む廃棄オメガの発情期をなめていた。こんなにきついだなんて聞いていない。
発情期を迎えた俺は、カンパーニュに連れられてオメガしか出入りできない牢に閉じ込められていた。
俺が発情期を迎えた時に、同室のブールにめちゃくちゃ悪態をつかれたが生理現象なんだから仕方ないだろと応戦して、被害者が出ないように、においがもれない最奥の部屋にカンパーニュと閉じ籠ることになったのだ。
「手伝おうか?めっちゃきついでしょ?」
「いい、死ぬ…うう…クルルーシュカ、クルルーシュカ…」
自分では上手く処理できずに苦しんでいると、口元にこれまた激しい臭いがする椀をカンパーニュに近づけられ口にすると、身体の熱が引いていくようにましになる
「これいいでしょう?オメガの負担を減らすために発情期を軽減する薬。私も飲んでるから移らないのよ。すごいでしょ!まあこれと、番消しが原因で医師会を追放されたけどアルファ社会なのよねぇ」
「うう…それでもきつい…廃棄オメガの自殺率が高いのが解る気がする…」
「あら?貴方は廃棄オメガじゃないわよ…だって、」
ブザーが鳴り、カンパーニュを呼ぶ呼び鈴が鳴ったので、何かいいかけてカンパーニュは応対している
「うう…届かない…」
カンパーニュがいなくなったので遠慮なく自慰に浸らせてもらう
「クルルーシュカ、クルルーシュカ…」
クルルーシュカは、どんな触り方をしていただろうか?一度なでて、指の腹で触って、俺の反応をじっと見つめていた
「んっ…クルルーシュカ…あっ、ん」
いくら軽減されたからといって、湧き上がる欲は無くならない
痛いくらい擦り、足りない刺激にもがきながら、なんとか薬のおかげが短縮された5日間で地獄の発情期は終わったのだった
げっそりとした俺と、部屋に帰るとブールがいないことに安心しながらベッドに横たわる
「はい、お粥。ゆっくり食べてね。あとでホーイが会いにくるって言ってたわよ。あと炭鉱で怪我人が出て、私は暫く戻れないからね」
カンパーニュにお礼を言い、お粥を啜ると五臓六腑に染み渡る
発情期のせいで傷が悪化したので手当をし直してもらうと、ふと鏡にうつった湿布が気になり恐る恐る剥がしてみる
鏡に映った頸は傷ひとつなく綺麗になっていて悲鳴を上げそうになった
「クルルーシュカ、本当に解除したのか…」
頸を撫でながら胸に走る痛みに、しおしおと元気もなくなっていく
痛む体を引きずりベッドに再び沈み込むと、リースはクルルーシュカと番契約をしたのだろうかと恐ろしい考えが浮かぶ
こんこんと遠慮がちなノックに返事をすればホーイがひょっこり現れた
「亜貴、今いい?」
「ホーイ、入って。カンパーニュは怪我人出たみたいで時間がかかるみたい。傷見てもらわなくていい?」
「大丈夫。おいら丈夫だから、ほとんど治ってるし。亜貴はなかなか治らないね」
「早いね…獣人と一緒にするなよ」
「あ、脱走の件なんだけど…リースがその…亜貴を連れて逃げろって言うんだ。今度こそ見つからないようにユティエル家の手助けもあるみたい…」
言いにくそうなホーイに頷く。リースは確かに俺達に一緒にいなくなってほしいだろう。ただ、リースが逃すだけとは思えない
「それ、言うとおりにしたら殺されるんじゃないか?途中まで言うことを聞いて…どっかで待ち合わせとかしてないか?違う行動をしよう。ところでクリマさんは捕まったまま?」
ホーイが泣きそうな顔をして頷き、涙を拭う
「どうしよう…姉さんの腹の中には、おいらの子供がいるのに…クリマ姉さんは見捨ててくれって…」
えぐえぐ泣くホーイの肩を摩り、助けに行こうと慰める
「クリマさんが大体どこにいるか、わからないの?クリマさんを助けて、俺はどっか逃げるわ。もうホーイ達を巻き込めないし、リースの考えている事ぐらいわかる」
多分、リースは側室?か何かはわからないが俺が再び駆け落ちしたことにして、奴隷から脱走を理由に亡き者にするつもりだろう
やられっぱなしで腹が立つから、なんかやり返したいところだが
「多分、クリマ姉さんはユティエル家の地下にいるはず…」
ユティエル家の広大な敷地の地図をホーイは広げながら地下を指差す
「これどこで手に入れたの?」
「盗賊してる奴から買った」
まあ奴隷に落とされるくらいだから何らかの犯罪者なのだろう。カンパーニュだけはちょっと違う事情ぽいが
「あ、もしかしてクマさん?」
「しー、そうだけど、しー」
クマさんは盗賊だったようだ
「この地図があるということは狙ってたってこと?」
ホーイはもう答えたくないようなので、もう一度、地図に目を落とす。
「儀式の日とかは人が殆どいないよな?知ってる?ホーイ、もうすぐクルルーシュカの誕生日だ。何回目かわかんないけど」
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