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狼獣人と共同生活をしよう!
しおりを挟むオートロックのタワマンは侍女長が用意してくれたらしい
お金持ちだな、侍女長
そしてホーイと一緒に過ごしだして知った事だが狼獣人は親しくなると普段は狼の顔ではなく、人の顔に変わる。ホーイはなかなかの男前だった。どんな仕組みなんだろう
ちなみにクリマさんはカッコいい美女過ぎた
わんこでいてほしいけれど、それよりも問題があってホーイはだらしない狼獣人だった
「あー!もう!また食器浸けてくれてないじゃん!しかも散らかして!あー!あー!狼の顔になって!!」
「亜貴はお母さんみたい。うるさいなぁ」
ぐりっと狼の顔になったホーイの頭を撫でくりまわす
「許す」
「どんな情緒」
ホーイが散らかしたお菓子の袋を拾い、掃除機をかける。このまま一緒に過ごしていたらゴミ屋敷になりそう
ホーイが唯一できる家事はゴミ出しだけだった。なんでなんだ
クリマさんが毎日食事を持ってきてくれるから食事は困らないけれど、掃除はそうはいかない
ホーイが散らかして、俺が片付ける構図が出来上がってしまった
これは我慢の限界が先に来る方が負ける
「もー!あっ、この袋、ホーイが食べてたお菓子だ。食べたいなあ」
「また買ってくるよ。おいら仕事だから行ってくるね。外に出るなよ、亜貴」
ごそごそと着替えて、額にチュッとキスをしてからホーイが出ていくのを見送る
獣人はスキンシップが激しい。特に犬系は激しいものらしい
今朝クリマさんが持ってきてくれた食事の食器類を洗いながら、窓から見える浮島を眺める
あれからテレビは龍王の番の儀式ばかり流しており、いちゃいちゃしながら馬車から降りてくる仲睦まじい様子や横抱きしながらパレードに参加する様子を報じており、悲しいような惨めな気持ちになる
ベールに包まれた番様は華奢で、白いざっくりと開いた部分から見える肌は白く滑らかそうで、多分綺麗な人なんだろうなと思う
そして、ニュースが切り替わり指名手配の凶悪犯としてホーイと俺の写真が出て、キッチンで飲んでいたお茶を吹きそうになった
「は?えっ?な、なんで!?」
クリマさんの話では、あんまり重たい刑ではなかったのではなかろうか?
テレビに齧り付くと、どうやら俺たちは強盗殺人の罪で指名手配されているらしい
一体いつから指名手配されていたのか、かなりの長時間放送されていて不安になる。ホーイは外出しまくってるけど…ていうか、そこまでクルルーシュカは俺を痛い目に遭わせたいのだろうか?
俺を、少しでも好きなんじゃないのかよ?
ぐっと涙を堪える
ソファの前で座って、再び幸せそうなクルルーシュカを、ベールで顔も見えない番様をずっと見つめていた
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