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最悪な日々※弱
しおりを挟むあれからクルルーシュカは本当に俺を片時も離さなかった。なんなら侍女長と喋るのも阻止してくる徹底ぷり
「どこ行くの?だめだよ、離れちゃ」
「俺はトイレにすら一人で行けないのか?きっつ」
言い捨てて、それでもごねるクルルーシュカに何とか一人になれるのはトイレの時間のみという
大体、ややこしい執政だの会議などは、はっきり言って俺は邪魔でしかないだろうに誰も突っ込まない
突っ込まない上に、見て見ぬふりをされている
多分、貴族とか家臣の獣人たちに囲まれてする会議でも、クルルーシュカは俺を膝の上に乗せて本当に離さなかった
たまに、体を触ってきたりするから最悪だ
「声、出しちゃ駄目だよ。絶対に他の者に聞かせたら駄目だよ」
そう言いながら、何かを染み込ませた布を俺の口元に当てて体をまさぐりながら囁いてくる
周りにいる獣人たちは、見ないようにしているのか、顔を逸らしながら会議をしているのに
「はっ、は、ん…うう…」
口元に当てられた布の匂いで酩酊し体が熱くなっていく
逃げるように喉をそらし、クルルーシュカの肩に仰け反ると、腹に手を回すふりをしながら、手の甲を下半身に擦り付けてくる
こんな事していて本当に、この国は大丈夫なのだろうか
激しく疑問だ
「触って、直接、触って…」
しかも、嫌なことに俺も順応してきてしまっている
クルルーシュカに触られる全てが気持ちいい
奥が疼いて、暴いて欲しいくらいに慣らされてしまった
「ああ、亜貴、可愛い、可愛い…好き…」
ごそごそしているから、絶対バレてんのになとは思う
「………亜貴は?」
またきたいつものクルルーシュカの問いに、俺は俯く
絆されたというか、なんというか
「………俺も」
もじもじしながらクルルーシュカの耳元で返すと、クルルーシュカが綺麗な顔を綻ばせて笑う
まだ、はっきりとは言えないけれど、俺もだんだんクルルーシュカに惹かれていた
やってることは変態じみているけれど、クルルーシュカとしか話さず、クルルーシュカとしか触れ合わない生活は精神にも影響を与えた
「いよいよ、明日、番の儀式だね…亜貴、今夜は特別に一人で寝て、明日からは暫く寝れないよ?」
こくんと頷くと、額にクルルーシュカが唇を熱くあてて笑い合う
「めでたいですなぁ番様を得て」
「明日の式を皆が楽しみにしております」
祝福ムードの中、侍女長だけは澄ました顔なので、心の中に不安が広がったがクルルーシュカに甘えるように頭を擦り付ける
「クルルーシュカ…」
顔を寄せられて、柔らかい唇の感触に多幸感が溢れてくる
俺はまさに幸せの絶頂にいた
end
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