完結⭐︎龍人様の番

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ゾワっとした話

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イングリッシュガーデンはアップグレードし続けていて、この間とうとう小川が流れ始めた

小船を浮かべたり花を流したり華やかに天上人が遊んでいるらしい

らしいというのも、俺は部屋に割と閉じこもっていて、なるべくクルルーシュカと会わないように気をつけていたからだ

なにかと理由をつけて接触を図ろうとしてくるが、クルルーシュカとは毎食一緒に食事をしているから、もう本当にそれで満足して欲しい

何とか暇を潰そうと、うろうろしてもみたが、行くところ行くところ現れるのだ。クルルーシュカが

それよりも、ちょっと怖いのが、この間無理矢理連れてこられた巡から手紙の返事が全くないのが気になるところだ

あの恐怖の食事会は一体なんだったんだろう

獰猛な竜達の鎖がぎりぎり巡の席に届くという恐怖の食事会からクルルーシュカには強く逆らいにくくなっている

あれは本当に巡は死んだと思った

だからこうしてやんわり避けているのだが、あいつはパーソナルスペースを守らないし、0距離が嫌すぎる上に空気を読みながらも、あえて無視してくる

それはそうと、クルルーシュカにあまり関わらずに済み、尚且つ暇を解消できるような事ってないだろうか?

窓の外を見ると、忙しそうに庭の整備をしている庭師の人達が目に入る

みんな忙しそうに、でも楽しそうにしていた。だから、これだと思った










「駄目です」

侍女長はにべもない。まあこれは想定内だ

今は庭にいたら、侍女長がいそいそと、お茶の準備をはじめたので、きっと近くにいる奴が来る。そういうことだろう

「亜貴、強請る相手を間違えたね?」

白い髪を今日は洗いっぱなしにして、深い色のパープルアイを細めて筋肉質な腕を組みながら現れた

今日は腰布とアクセサリーだけしか身につけていないクルルーシュカは、艶っぽく筋肉質な腹や肩も丸出しで、なんとなく目のやり場に困る

侍女長が椅子を引きクルルーシュカが座り、対面に座るように促され黙って座る

「何を強請っていたの?何が欲しい?」

ゆったりと脚を組み、お茶を口にしながら微笑むクルルーシュカに合わせてお茶を飲む

運ばれてきていた小さいチーズケーキを口にしながら、庭いじりがしてみたいと言ってみる

すぐに許可がもらえると思っていたが、クルルーシュカは考え込みながら唇を撫でている。癖なんだろな

「護衛の手配が難しいかもしれない」

「護衛なんて、いらないよ!そんな大規模じゃなくて、小さな所をくれたらいいんだ。たまに庭いじりするぐらいなんだ」

「んんー、許可してあげたいけれど、誰かに教わりながらするんだよね?誰とも喋ってほしくないんだけど」

クルルーシュカが至極真面目な顔でそう言うので、すこし息を呑む

その眼が嫉妬をしているように激しかったので内心びびった

いや、番と言われても、たまに抱きつかれたり変なことは言われるけど、そんな?そこまで?

「いや、てきとーに調べながら育てるよ。誰にも教わらない」

さっき図書館で借りた図鑑を見せながらいうと、クルルーシュカが黙って立ち上がったので、失敗したかと危ぶむが、機嫌は良さそうなので、まだだ。まだいける

「クルルーシュカ、お願い」

クルルーシュカの後を追いかけながら、言う

クルルーシュカはちらりと此方を見下ろしたまま何も言わない

クルルーシュカから解放されたいがあまりクルルーシュカに接近しなければならないなんてなんというジレンマか

「クルルーシュカ、迷惑かけないから、お願い」

再び言い募りながら、クルルーシュカの腕を引き掴む

急に腕を取られて、クルルーシュカが何を思ったのか、手を取り自分の頬へ当て、花が綻ぶかのように、本当に嬉しそうに目を細めて笑う

「いいよ、その代わりに今日一緒に寝てくれるなら」

クルルーシュカの言葉に手を抜き、黙ってくるりと踵を返す

別の方法を考えねば

「あっ、なしなし、脚、脚を舐めさせてくれるでもいいから」

言い募るクルルーシュカにドン引きだ

脚を舐めたいとか、どこの変態だ

「あっ、わかった。ちんこ、ちんこをちょっとでも…」

クルルーシュカくらいの美貌に下ネタが出てくると、本気で卑猥に聞こえる

「もう喋んな。じゃあな」

心底軽蔑した目をむけたら、もっと見下してとしつこかった

ちょっとゾワっとしましたが、無事に庭の一区画もらえました

end
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