首輪のわ

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いやいやいやいや、簡単にほだされてどうする

今までのチビシリーズ達を思い出せ

あれは、俺の未来の姿だ

グッと歯を食いしばる

好きにならなければいいんだ。全部見て見ぬふりをして、心を押し殺して従順にしていればいい

2ヶ月後には、神宮寺は目を覚ましたように他の番達に言ったように、あっさりと俺の元を去る

それでいいんだ、それでーーー

ポロリと涙が溢れる

神宮寺は猫みたいに擦り寄ってきて気持ち良さそうに俺の腹に回っている腕に力を入れる

「初めからこうしておけば良かった。しぃちゃん、幸せだね?」

項の傷痕を舌でなぞりながら、神宮寺は本当に心底幸せそうに言う

「………うん」

小さく頷いた俺を神宮寺はどう思ったのか

ちょろいと思っているのか、今までと同じ流れだと思っているのか

ふかふかのベッドにいるのに、僅かに神宮寺の体から匂う岬の匂いに腹が捩れるような複雑な感情になる

「こんな最悪な幸せ知りたくなかった」

ぽつりとこぼすと、神宮寺は意外なほど驚いた顔になっていた

何故か頭をよしよしされて、誤魔化されたような気になる

「今さら、逃げられると思うなよ」 

囁かれた言葉に、本当に最悪な気持ちになった

なんで神宮寺が被害者みたいな顔をしているのか

針ぶっ刺されたりヒート時に好きな子と初めてと思ったら神宮寺だとか、こいつには色々と粗相をやらかされているのはこっちの方だ

本当に腹立たしい

おまけに、ちょっと気付きたくない気持ちまで気付いてしまいそうだ

「なあ、俺はいつになったら学校に戻れるんだよ?」

その気持ちを振り払うように振り向いて聞けば、神宮寺は少し思案顔をして首を傾げた

「戻りたいの?なんで?」

「そりゃあ、ある程度学歴いるだろ」

主に捨てられた後とかに必要なのだが

「学歴だけ?本当に?」
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