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しおりを挟む口内を這い回る神宮寺の舌に、完全に泣きたい気分になる
くそう、完全に主導権を神宮寺に持っていかれてしまった
なんとか全裸になり誤魔化したが、盗聴器か盗撮されているのか全部把握されているに違いない
神宮寺の手が胸元をさわさわとしだしたので、腕にぐっと力を込めて体を引き寄せる
素肌に制服があたるので妙な気分だ
神宮寺は少し笑いながら、またキスに没頭していく
息が上がるくらいずっとキスをして、唇がヒリヒリしだした
「まだセックスは苦手なの?」
髪をなでなでしながら神宮寺が甘ったるく言う
まるで愛おしい恋人に語りかけるような様に、罪悪感がむくむくと湧いてくるようだった
「ヒート中だけでいいだろ?……別にこんな体、楽しくないだろう」
拗ねたような口調になってしまったが、これは本心だ。神宮寺の周りにいるオメガ達は皆柔らかそうで、たおやかで美しく神宮寺と並んでも遜色ないくらいだ
神宮寺も少し驚いた顔をしていたので、口にしてしまってから後悔が押し寄せる
まるで、勝手に比べて拗ねているみたいだ。勘弁してほしい。神宮寺とはあと2ヶ月ほどしか居られないのだから
罰が悪くなり、寝転んだまま神宮寺に背中を向けると、神宮寺がごそりと動いて背中に口をつけてきた
「ヒート中だけじゃなくて、しぃちゃんの事、全部見せてほしい。全部、全部ほかの誰にも見せないで…」
懇願に似ているような、神宮寺が泣いているような気がして振り返ると、脇腹に恐ろしいくらい綺麗な顔を置いた神宮寺は感情の読めない顔で、じっと此方を見ていた
神宮寺の不思議な色合いの瞳の色から目が離せず、何故か胸の奥がきゅうと締まったような感覚に陥る
だめだ、好きになったら、だめだ。惨めになるのは俺なんだから
寂しそうな奈津の姿が想い浮かんで、泣きたいような、苦しい気持ちになる
「……誰にでも言ってる?」
言ってしまってから、喉が締まるように苦しい。本当に今日は一体なんなんだろうか
「しぃちゃんだけだよ」
寂しそうに笑う神宮寺に、なんだかこっちが悪いことをしたような気になる
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