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。・゜・
山荘の生活は不思議だった。いつの間にか朝食も昼も夜も用意されているし、片付けられている。次の日になったらいつの間にか脱ぎ捨てた服が、クリーニングされて返ってくる
でも、本当に誰にも会わないのだ
もう5日経つが奈津は現れない
山荘にはゲームや色々揃えられていたから、暇を持て余しはしないが、このまま奈津が来なかったらどうしようかと不安になる
山を探検したり、なかなか楽しいが、もうすぐヒートが始まる。2日ほど前から常にない悪寒と痺れが時々くる
さすがに今日は大人しくしておいた方がいいだろうと、室内で携帯をいじっていたら、SNSの着信がきて、奈津が今から行くと短い文を打ってきた
飛び上って喜ぶ
嬉しい、今日会えるんだ
そわそわしながら、何度も窓の外を見る
車が来たらすぐわかる。わくわくしながら、いつの間にか寝てしまっていたようだ
起きたら、目の前に奈津がいた
一緒に寝てしまったのか、柔らかな寝息をたてる奈津に見入る
長い睫毛に薄い唇が
目を瞑って唇に触れようとすれば、ぱちっと奈津が目を開いた
ずっと会いたかった
「なかなか手間取っちゃった、ごめんねぇ、遅くなって…」
「奈津!奈津…!」
泣きながら抱きつく俺に、奈津は優しく髪を梳いてくれるが、なにかおかしい
妙に作られた空気の様な
だから、自分からチュウをしようとすると、すっと避けられた
ん?なんで避けるんだ?
「…….ちょっとアブノーマルなことしてみない?」
手錠を出してきた奈津に思いっきり頷く
「奈津に着けていいの?」
ちょっと興奮するかもしれない
「違うよ、紫苑が着けるんだよ」
テキパキと上半身の服を脱がされてタオルをかませて、手錠をかけられた
「なんか恥ずいかも、これ……」
情け無い顔をした俺に、奈津はのし掛かると、ベッドのヘッドに手錠を引っ掛ける
「ごめんね、紫苑、大好きだよ……」
初めて言われた奈津の言葉に目を丸くする。今、奈津が俺に好きだと言ってくれた
大好きだと言ってくれたんだ!
「お、俺も好き!大好き!奈津、奈津!」
抱きつきたいけど、ベッドに固定されてて動けない俺を、奈津は何故か悲しい目で見ていた
何でそんな目をするんだろう?
きょとんとしている俺に、奈津は静かに立ち上がり、部屋を出ていこうとする
シャワー浴びてきますよ的な?
待つよ、全然待つ!
「本当にごめんね、紫苑……」
山荘の生活は不思議だった。いつの間にか朝食も昼も夜も用意されているし、片付けられている。次の日になったらいつの間にか脱ぎ捨てた服が、クリーニングされて返ってくる
でも、本当に誰にも会わないのだ
もう5日経つが奈津は現れない
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山を探検したり、なかなか楽しいが、もうすぐヒートが始まる。2日ほど前から常にない悪寒と痺れが時々くる
さすがに今日は大人しくしておいた方がいいだろうと、室内で携帯をいじっていたら、SNSの着信がきて、奈津が今から行くと短い文を打ってきた
飛び上って喜ぶ
嬉しい、今日会えるんだ
そわそわしながら、何度も窓の外を見る
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起きたら、目の前に奈津がいた
一緒に寝てしまったのか、柔らかな寝息をたてる奈津に見入る
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目を瞑って唇に触れようとすれば、ぱちっと奈津が目を開いた
ずっと会いたかった
「なかなか手間取っちゃった、ごめんねぇ、遅くなって…」
「奈津!奈津…!」
泣きながら抱きつく俺に、奈津は優しく髪を梳いてくれるが、なにかおかしい
妙に作られた空気の様な
だから、自分からチュウをしようとすると、すっと避けられた
ん?なんで避けるんだ?
「…….ちょっとアブノーマルなことしてみない?」
手錠を出してきた奈津に思いっきり頷く
「奈津に着けていいの?」
ちょっと興奮するかもしれない
「違うよ、紫苑が着けるんだよ」
テキパキと上半身の服を脱がされてタオルをかませて、手錠をかけられた
「なんか恥ずいかも、これ……」
情け無い顔をした俺に、奈津はのし掛かると、ベッドのヘッドに手錠を引っ掛ける
「ごめんね、紫苑、大好きだよ……」
初めて言われた奈津の言葉に目を丸くする。今、奈津が俺に好きだと言ってくれた
大好きだと言ってくれたんだ!
「お、俺も好き!大好き!奈津、奈津!」
抱きつきたいけど、ベッドに固定されてて動けない俺を、奈津は何故か悲しい目で見ていた
何でそんな目をするんだろう?
きょとんとしている俺に、奈津は静かに立ち上がり、部屋を出ていこうとする
シャワー浴びてきますよ的な?
待つよ、全然待つ!
「本当にごめんね、紫苑……」
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