18 / 41
18
しおりを挟むとぼとぼと学校に向かうと、神宮寺達がきゃあきゃあ騒がれていた
華やかなα達は輝いていて、眩しい
けっ、むなくそ
あいつらのいずれかが奈津を酷い目に合わせたに違いない
通り過ぎると、チビ4である岬がぎらっと睨んできた
オメガは小柄な人が多いので、俺は身長が大きな方だ
だからかは知らないが、神宮寺の番達はあまり強くでれないみたいだった
しかし、今日は違うみたいだ。俺の席の前まで来てギャンギャン騒ぐ
「ちょっと、地味男、お前のせいで奈津が何されたか知ってるの?よく平然としていられるよね?」
こいつはチビ3だったか?芽流都と呼ばれていたDQNネームの
「んなの、暴行したやつらに言えよ。何で俺のせいなんだよ?」
「はあ!?口答えする気!?お前の首輪の鍵を、奈津が意地でも渡さなかったからだろ!鍵くらい自分で管理しなよ!」
「…奈津、そんなに渡さなかったの?」
「知らないの?殴られたり蹴られたりしても絶対に渡さなかったから、ああなったんじゃん。可哀想に。僕も止めれなかったけど…」
ガタンと立ち上がると、芽流都はびびったのか短い悲鳴をあげて、岬の後に逃げ込む
奈津は、最後まで守ろうとしてくれたんだ
奈津が酷い目にあって、いらいらむかむかだけで複雑だった胸がじーんとする
俺はもう心を決めた
夕方、寮には着替えにだけ戻り、財布と携帯だけ持って外に出る
強い風が吹いていた。オメガだと言われた日も、こんな風が吹いていた
タクシーを呼び止めて、山荘に向かう
どこかふわふわとした幸せな気持ちでいっぱいだった
「あ、首輪の鍵忘れたな…ま、いっか」
山荘に着いたのは夜中だった。鍵を開けて入ると、色々揃っていた
静かな室内で色々考える。オメガと隠しては働けない。身よりも後ろ盾もない
後ろ盾があったとしてもオメガ性は政略結婚にしか使われない
「……奈津と、どうするか相談したらいいか」
不安しかないが、自分を作り替えるような運命から逃げたかった
悍ましい神宮寺の目を思い出す
あれは捕食者の目だ。アルファ独特の肉食獣の目
あの目が全てを物語っていた
獲物が目の前にあるとーー
。・゜・
147
お気に入りに追加
1,045
あなたにおすすめの小説


普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

風紀“副”委員長はギリギリモブです
柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。
俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。
そう、“副”だ。あくまでも“副”。
だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに!
BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。



初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる