首輪のわ

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とぼとぼと学校に向かうと、神宮寺達がきゃあきゃあ騒がれていた

華やかなα達は輝いていて、眩しい

けっ、むなくそ

あいつらのいずれかが奈津を酷い目に合わせたに違いない

通り過ぎると、チビ4である岬がぎらっと睨んできた

オメガは小柄な人が多いので、俺は身長が大きな方だ

だからかは知らないが、神宮寺の番達はあまり強くでれないみたいだった

しかし、今日は違うみたいだ。俺の席の前まで来てギャンギャン騒ぐ

「ちょっと、地味男、お前のせいで奈津が何されたか知ってるの?よく平然としていられるよね?」

こいつはチビ3だったか?芽流都と呼ばれていたDQNネームの

「んなの、暴行したやつらに言えよ。何で俺のせいなんだよ?」

「はあ!?口答えする気!?お前の首輪の鍵を、奈津が意地でも渡さなかったからだろ!鍵くらい自分で管理しなよ!」

「…奈津、そんなに渡さなかったの?」

「知らないの?殴られたり蹴られたりしても絶対に渡さなかったから、ああなったんじゃん。可哀想に。僕も止めれなかったけど…」

ガタンと立ち上がると、芽流都はびびったのか短い悲鳴をあげて、岬の後に逃げ込む

奈津は、最後まで守ろうとしてくれたんだ

奈津が酷い目にあって、いらいらむかむかだけで複雑だった胸がじーんとする

俺はもう心を決めた

夕方、寮には着替えにだけ戻り、財布と携帯だけ持って外に出る

強い風が吹いていた。オメガだと言われた日も、こんな風が吹いていた

タクシーを呼び止めて、山荘に向かう

どこかふわふわとした幸せな気持ちでいっぱいだった

「あ、首輪の鍵忘れたな…ま、いっか」

山荘に着いたのは夜中だった。鍵を開けて入ると、色々揃っていた

静かな室内で色々考える。オメガと隠しては働けない。身よりも後ろ盾もない

後ろ盾があったとしてもオメガ性は政略結婚にしか使われない

「……奈津と、どうするか相談したらいいか」

不安しかないが、自分を作り替えるような運命から逃げたかった

悍ましい神宮寺の目を思い出す

あれは捕食者の目だ。アルファ独特の肉食獣の目

あの目が全てを物語っていた

獲物が目の前にあるとーー

。・゜・
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