首輪のわ

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放課後になると、奈津が呼び出される事が多くなった。奈津は風紀委員に入っているらしく、番持ちなので見回りとか会議とかで忙しいらしい

一緒には帰れなくなったけど、大体は奈津の部屋に入り浸っていた。最近は21時にも間に合わず会えない日もあった

朝だけ来て鍵を開けてくれていたけれど、神宮寺は帰ってこないのと、奈津がひどく疲労困憊しているように見えて、ヒート間近だけにしようか?と話をしていた

目に隈?眠れてないのかな?なんか、異様な気怠さぽいというか

寂しいけれど、疲れが見える相手に構えとは言いにくい

それに、1m接近禁止命令から、あんまり外ではベタベタ出来ない


「ねえ、奈津。部屋に泊まりに来ない?神宮寺もいないからバレないよ…全然会えなくて寂しいんだ」

「今日見回り終わったら泊まりに行くよぉ。ごめんね?」

頼んでみたらあっさりオッケーをもらえた。嬉しくて帰りの足取りも軽くなる

今日は普通のパンツでいいだろ

久しぶりの触れ合いに緊張と期待でわくわくが止まらない

バスルームやベッドを綺麗に整えて奈津を待つ

「………遅いな」

23時を過ぎても奈津は来なかった。SNSにメッセージを入れても既読がつかない

不安になりながら、ベッドに寝転ぶ

何か不測の事態で忙しいのかもしれない

小さく欠伸をすると、うとうとと眠くなってくる

部屋から21時以降は出たらいけないんだけど…

体を反転させて起き上がる

何かあったのかもしれない。最近、奈津の様子がおかしいし

立ち上がって、2つ隣の奈津の部屋をノックする

部屋は暗くて返事もなかったけど、鍵がかかってなかったので開けて入ってみた

「……奈津?帰ってるの?」

人の気配もないので見渡したが、奈津は帰っていなかった

「何処に行ったんだろう?」

いくら委員会や見回りでも、こんな時間まで生徒が拘束される事はない

何度も奈津の携帯にかけるけれど、やっぱり出ない

"泣きながら頼むことになる"

ふと、神宮寺の言葉を想い出して嫌な予感に胸がざわつく

何故、泣きながら頼むことになるのか?

ヒート中に要求するつもりなのかと恐れていたが、違うのかもしれない

そんなわけはないかと首を振り、部屋に戻ると凄い力で引っ張り込まれて、いきなり目隠しをされた

そのまま引き摺られて、ベッドに放り投げられたけど鼻腔に微かに奈津の匂いに安心する

サプライズえろすか何かだろうか?

甘い、大好きな匂い

この匂いを嗅いでいると、頭がうっとりして、相手を離しちゃいけない、大好き、一緒にいたい、いろんな言葉が浮かんでくる

奈津は、覆い被さったまま動かない

「腕も縛る?」

冗談で両手を差し出すと、息を飲んだのがわかった

愛おしくなって首に腕を回す

「…………どこいってたの?」

唇に触れながら話す。そのまま食べるみたいにして食むと、驚いて身体を離された

だからそのまま抱きついて耳朶を食む

「どこもいかないで、一緒にいてよ…」

ぎゅうと抱きしめられて、強い力の違和感に戸惑う

ん?なんかごついな、奈津だよな?こんな筋肉…というか、がたいよかったか?

恐る恐る目隠しを外すと、顔を真っ赤にした神宮寺がいた

お前かよ……!

半端ないガッカリ感に、自分のパンツが今、平常な鍵なしだと気がつく

これは非常にまずい

「………わ、わかった。ヒートじゃなくても、番同士、触れ合いは大切だよな?毎日帰ってくる」

ぼそりと怖い言葉を吐いて、身体を擦り付けるようにして、擦り寄ってきて神宮寺が抱きついたまま寝転ぶ

上機嫌で特に今日は何かするつもりはないのか、何が楽しいのか知らないが、つむじにキスしてきたり頬を寄せたりしてきている

「照れ隠しだったんだな…本当は俺のこと好きなんだろ…?」

そんなわけはないが、今下手に反論して逆上させるとマズイ
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