首輪のわ

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「お前の叔父さんってちょっとアレだよな……」

神宮寺には言われたくないが、ちょっと引くわぁみたいな顔で言われると恥ずかしい

「満足したか?」

「鍵は奈津が持ってるんだろう?」

何でもない事のように言いながら神宮寺は自分の服も脱ぎ出す

鍛えてあるのか胸筋も腹も見事に割れていて、雄らしい体付きである神宮寺は妙な気持ちになるフェロモンまで撒き散らしている

「ちょっと待て、何で脱いでんだ!?」

焦って下まで脱ごうとしている神宮寺を止める

一体何故、全部脱ごうとしているのか、怖すぎて聞けないけど阻止したい

「何って、運命の番が現れたらする事は、ひとつだろう?」

「仮に運命の番が現れても、そんな即物的な運命嫌だわ」

笑われながら、そのまま押し倒され上から神宮寺が見下ろしている。黙っていれば、物凄い美形で作り物めいた精巧な人形みたいに見える

しかし、微かな目によぎるギラギラとした欲望や獰猛に笑う仕草が神宮寺は生身の人間だと伝えてくる

「………もう番は作らない。見つけたから」

囁かれる優しい声と、目に浮かんだ愛情のような慈しむような色に怖気が走った

怖い、気持ち悪い、悍ましい

神宮寺は面白そうに顔を背ける俺の首筋の首輪を口をつけると何度も噛み、やめさせようとした俺の腕を押さえつけた

「俺が本気だと解ったら奈津はどうなると思う?」

熱っぽく、実際妙なフェロモンと神宮寺、いや自分の体温なのか妙に熱い耳に神宮寺の冷たい唇が触れる

「…しぃちゃんは嫌われちゃうね?」

凄い上機嫌でうっとりと呟く神宮寺に身体をこわばらせる

「え?あ、あ…奈津、俺のこと、嫌いに……?」

そんな筈はないという気持ちと、嫌われたら生きていけない絶望感がないまぜになる

「でもまあ、楽しみはヒートまでとっておこうね。しぃちゃんは自分から強請って腰振って、種付けして番にしてって泣きながら頼む事になるんだから…」

神宮寺の大きな手が身体を這い、唇を舐められ口内に潜り込んでくる。嫌悪感と吐き気でいっぱいなのに、強く振りはえらない

振り払って、本気の嫌悪を見せたら神宮寺はやるだろう。奈津に如何に本気か吹き込むのだ。

自分への気持ちは0じゃないと思いたいが、実際ヒート中の相手には選ばれず、挿入は許されなかった

怯えた、カタカタと震える俺に、神宮寺はその凄まじい美貌を綻ばせて嗤う

「態度次第、でね。舌を出してしぃちゃん…」

震えながら舌を出す俺の顎を掴み、食べるように唇を塞ぎ、舌が滑った生き物のように巧みに絡む

嫌悪感と吐き気は治まり、酩酊するような頭の芯がしっかりしない空気のまま貪りあう

「………いい子、そのまま従順でいれば、なぁんにも怖い事は起こらないよ…」

ぶるぶると生娘みたいに震える俺の肩を撫でて、そのまま顔を下ろして胸に吸い付く

いきなりの滑りと口内に含まれた感触に、身体が跳ねる

腕を押さえつけられているので、身を捩りながら、この妙な刺激から逃げようとするが神宮寺は執拗に胸をぴちゃぴちゃと舐め、指で擦り、揉む

「ちょっ…やめ、女みたいにすんな…っ」

涙目になっている俺を見上げて神宮寺が微かに笑った気配がした

「口か、ここしかないだろう?パンツは鉄板入ってんのかコレ?ヒートまでまだまだあるんだから、開発してやるよ」

唇を舐める神宮寺にぞわりと、怖気以外の何かが走った

「奈津には内緒でな……」

額を合わされ、また唇で口を塞がれ乳首を捏ね回され悲鳴は全て口内で打ち消された

ずりずりと太腿に擦り付けられる神宮寺の巨根に、恐怖が蘇る

「しぃちゃん……愛してるよ」

うっとりとして、顔を紅潮とさせて言う神宮寺に、ただひたすら恐怖しか感じなかった

奈津は、このことを知ったらどうなるのだろう?

背徳感と、罪悪感でいっぱいの俺を、神宮寺は朝まで終わらないペティングを続けた

目から涙が止まらない。抵抗出来なかったことも、今まで目を逸らしていた奈津が神宮寺を好きだという事実も

「……ふふ、自分から腰に脚巻きつけて腰振るなんて、いやらしい…」

臍から上までしか触られなかったが、もう体が言うことを聞かなかった

何度もパンツの中に吐精し、自らもパンツを脱ごうとする姿を神宮寺はじっと見ていた

ただひたすら、見ていたのだ







カチ、カチと物音がする

背中を向けて寝ていたら、神宮寺の腕が腹と胸に回されて密着するようにして寝ていた

首筋にたまに神宮寺の唇があたる

ふー、ふーと荒い熱い息とカチカチの音は間隔が短くなっていく

うとうとしながら、尻に押し付けられる、でかい硬いモノに身を強張らせる

神宮寺は、首輪を齧っていた

何度も何度も千切ろうとするように歯を合わせて隙間を引っ張り、その度に腕に力が加わる

起きているのがバレたら、まずい気がして神宮寺から離れるまでずっと寝たふりをしていた
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